「ほーう。……ついこの間、間諜の女に毒を飲まされてぺらぺらと政情をしゃべったあげく、命を狙われて国政の危機を招いたばかりだというのに、あなた様ときたら、仮面を被って派手派手な仮装をして、街へ遊びに行きたいと、そー申すのでございますか。ほほー」
「う……」
的確に痛いところをひと突きされて、ルシードは両手で胸を押さえた。
「その通りだ。まったく俺が愚かだった。
だが、俺は行く!」
仲睦まじい大公ルシードと公妃ジルは、実は仮面夫婦で、彼らの正体を知るマシアスと三人で手を組み、打倒パルメニアのために、国力を強化していこうというお話の第四弾。仮装して仮面をかぶり身元を隠しながら賭博を楽しむ「賭博祭」が開かれ浮き足立つ公都パールエルムに、北の国オズマニアの王子・オースがやってきて……というお話。
お祭りを前にして、ワクワクしてるルシードはどれだけ子供なんだと思ってしまいますが、お忍びで出かけるだけならまだしも、剣を手にしてトーナメントに出るなんて……バカですよね?マシアスの苦労がわかる気がします。
っていうか、それを見越してあんな仮装をさせたんだろうに、それすら乗り越えてしまうルシードはやはり大物だと思った次第。
普段ならルシードの浮かれようから、ジルが気づいて押しとどめたでしょうけれど、ジルはジルで気がかりなことができてしまったから、運が悪いってもんです。まあ、彼女からしたら、家族の消息は、一番気になることだろうからなあ。もちろん、「管理」したい人のことも気になってるでしょうけど。
惜しいところで妹と会えていませんが、こちらはこちらで面白い人とコンビを組んでたりして、これから先の展開を思うとニヤリとさせられる。
さて、にぎやかな雰囲気の中、オズマニア国からパールエルムにやってきた王子のオースがなかなかにくせ者だから、面白くなってくるんだ。感情がないというより、熱がないことが、外交の駆け引きにおいて有利に働き、気づけば、ジルが追いつめられていくんだから驚きです。あのジルがですよ!?
周到に動き回って隙を見せないオースとオズマニアに、何とか一矢報いようと、わずかな隙をつこうとするジルですが……なんだか、厳しい戦いを思わせますね。この頭脳戦は大いに楽しみです。続きに期待。
プリンセスハーツ 恋とお忍びは王族のたしなみの巻 (小学館ルルル文庫 た 1-5)
高殿 円
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