「……魂に価値の上下はない」
乙夜はひそりと呟くように、桐子の言葉を繰り返した。
「それがあなたの信念ですか」
「そんな大げさなものか。ただの真理だ」
封殺鬼シリーズの続編……というには時系列があれですが(封殺鬼は現代、鵺子ドリは昭和の始めごろの時代設定)、わずか十歳にして神島家を継いだ桐子が、雷電、酒呑童子といった使役鬼をつれて、帝都にはびこる「人喰い」事件に関わっていくお話の第四弾。今回は乙夜の仕掛けに気づきながら、桐子が自らの心の奥底にある洞と向き合うことになるお話です。
いやあ、面白かった。やっぱり桐子は恰好いい!
傷ついた聖を前にして冷静でいられない弓生に対して投げかける言葉は、突き放すようで温かみがあるし、誰よりも高いプライドを持ちながら、決して他人を蔑まない矜持を持っているんだから、言動が冷たいので誤解されることが多いかもしれないけど、一度わかってしまったら、この人についていきたいと思いたくなりますよね。主従の関係でありながら壁があることは実感していただろうに、粛清覚悟で桐子のために弓生が動く姿が印象的でした。なるほど、志郎が心動かされるわけだ。
その志郎とのやり取りは、相変わらずいいものがあります。普段はクールなのに、志郎の前に出るとついついムカっとして、思わず口に出してしまう言葉が、実は志郎を信頼する言葉で……。しまった、という顔をしながらツンツンし続ける姿に、ニヤリ笑いが止まりません。こういう信頼を感じたからこそ、桐子が自身の心を覗いたときに、その洞から目を背けないよう、指摘し続けたんだろうなあ。
あのとき、反発したのは弱さを突きつけられたからなんだろうけれど、それをすぐさま強さに変えて前に進もうとするところに、しびれました。こういう姿を見せてくれるから、惚れ惚れしちゃうんだよなあ。
まあ、そんな姿を見せながら、乙女心には弱いからまた素敵なんですけど。今回弓生が与えられた罰を知ったら、きっと志郎も同じことをやるんじゃないかしらと一人想像してニヤニヤ。
こうやって二人の距離が少しずつ変わっていったんだなと思いながら読んでたわけですが、まだまだ乙夜との対決は終わってないわけで。とはいえ、だいぶ終盤に近づいてきたかな?今回ハンデを背負いながら戦ってたことで、苦戦を強いられましたが、まともに戦えば……と思ったけど、あの乙夜がまともに戦うわけないか。どのあたりを突いてくるのかわかりませんが、きっと志郎も参戦してくるでしょう。楽しみですね。
封殺鬼―鵺子ドリ鳴イタ〈4〉 (ルルル文庫)
霜島 ケイ
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