(そっか、そんなにすぐ行っちゃうのか……)
「ま、それが無くとも勉強もせずに遊ぶなんて、あんたの先生が許さないんじゃねぇの?」
急に静かになったラビサを横目で見やり、ジゼットは軽い口調で切り出した。
「大体あんた受かる自信あんのかよ。園丁候補選抜試験なんてさ」
沙漠に水をもたらすシムシムの種子を植える町を探す「シムシムの使者」だったラビサと、彼女の旅路を付き合ったジセットが繰り広げる冒険シリーズの第四弾。今回は、ラビサが園庭候補選抜試験を受けるために故郷へ戻るお話です。
いやあ、面白かった。
ラビサの真っ直ぐな思いってのは、どれだけの人を動かしているんでしょうね。ジゼットは当然のこととして、兄や幼馴染など、無意識のうちに惹きつけておきながら、本人は無自覚だから、罪深いってなもんです。振り回されてしまう人たちに同情の念を覚えつつ、微笑んでしまう僕がいる。
まあ、幼馴染からしたら、試験こそ受かってなくとも、シムシムの使者ってことで、それなりの評価をもらっているラビサが羨ましく思うのはしかたないところだと思います。それが惚れた女ならなお更でしょう。ついつい意地を張って、つっけんどんな態度を取ってしまうサユンの態度に、クスッとしてしまうものがありましたが、男とか女とかそんなこと関係なしに、大切な人だと思ったら、全力で立ち向かうラビサはいい子ですね。小さなことに悩んでいる自分が恥ずかしくなります。
むろん、それだけで世の中を渡っていけるとは思わないけど、でも、彼女には真っ直ぐ前を向いてほしいと思うものがありました。
一方のジゼットは、ラビサが試験を受けている間、バラバラになった「砂嵐旅団」の行方を捜していたんですが、どうにもきな臭いことになってきそうです。ラビサがいないことで、寂しさを覚えるところとか、周囲から見てると楽しくなっちゃうものがあるだけに、今回登場した「星読みの徒」が告げるジゼットの「闇」が気になります。
旅団の話や星読みたちが動くことで、ジゼットに闇が生まれるのかしら。
ラビサという光がいれば……と思いながらも、大きな光さえ飲み込むという予言が不安を呼びます。いったいどうなるのかドキドキですね。
沙漠の国の物語~星のしるべ (小学館ルルル文庫 く 1-5)
倉吹 ともえ
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