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チェンジリング・シー / パトリシア・A・マキリップ

「きみにはわからないだろうな」
「あなたの言葉はわかります。でも」
小さくお手上げというしぐさをする。
「あなたの目がわかりません。あなたは海を見ています。ペリと一緒にいても、海を見ています」

家庭崩壊の原因となった海を憎む少女ペリが、海に思いを馳せる王子キールと出会い、見よう見まねで海に「呪い」を施したら、黄金の鎖を首にかけた海竜が現れて、魔法使いを自称するリョウの魔法が、更なる謎を呼び込み……、王子と海竜と海の下の国をめぐる物語。

ああ、これはなんと幻想的で素敵な物語なんだろう。
実は王子は……というのは、タイトルを見ればいろいろ想像つくと思います。言葉は知ってたはずなのに、気づかなかった僕みたいな人は置いておくとして、そのせいで海に思いを馳せる王子がいて、そんな王子に偶然であったペリが、「海の下の国」について考え合っているうちに、恋が芽生えていくところが、とても良かった。
激しい恋模様が描かれるわけではないけれど、「海の下の国」について調べているときに、ふと王子を思う姿とかいいんですよねー。

それだけじゃなくて、不思議なものとの遭遇も魅力に溢れてました。「呪い」から現れた海竜が、実は大きな意味を持っているんですが、海竜とペリの交流がまた素敵なんだ。言葉を教えて、ちょっとずつ成長していく姿は、個人的には王子との恋よりも惹かれるものがあったりする。
まあ、王子との恋は、なんていうか、こう、言葉悪いけど、打算的なものが(王子側に無意識かもしれないけど)あるような気がしないでもなかったので、感情的に一歩引いてたのかもしれないけど。

海と海竜と魔法と。
そのすべてがイメージを喚起してくれるので、読んでて楽しいですが、リョウの魔法が引き起こした騒動から、王子と海竜の関係が見えてきてからは、恋を自覚した少女からすると、切ない思いを抱くことになりましたが、それでも、好きな人が、本当の自分を取り戻したいと思ったきっかけを作ってあげられたと思えば、少しは気持ちが晴れるかもしれません。

最後に、あれれと思いながらも、笑みをこぼしてしまうシーンがあって、ここから先の恋の行方が気になったりしますね。
初マキリップでしたが、とても良かったので、他の作品も追いかけてみようっと。

チェンジリング・シー (ルルル文庫) - パトリシア・A. マキリップ

チェンジリング・シー (ルルル文庫)
パトリシア・A. マキリップ

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Comment:2

成田智 2008-09-01 (月) 20:36

ずいぶん昔ハヤカワFTで読みましたが、こんなところでマキリップの名を見るなんて!
すごく綺麗な世界を描いてくれるのでとても好きな作家です。
さっそく読んでみようと思います。

deltazulu 2008-09-08 (月) 21:35

> すごく綺麗な世界を描いてくれる

ほんとそうですよね。僕も読んでて思いました。
ハヤカワでいろいろ出してるようなので、これから読んでいきたいと思います。
オススメあったら教えてくださいね(って言うの遅すぎ)

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