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[倉吹ともえ] キャンディ・ポップ

「俺に頼みごとをしているのはお前の父だけじゃない。順番待ちという言葉を知らんのか」
「そんなこと言って、昨日のその前だって何もしなかったじゃないの!そのくせ廊下や温泉街でたまたま見かけた人の願い事はほいほい叶えちゃったりしてさ!」
「腹が減るんだから仕方なかろう。おやつだ」
「おやつですってぇ?おやつばっか食べてるからご飯が食べられなくなるのよ!」

人間とよく似た姿の、まったく別種のモノ、それがカミ。カミは人の望みを叶えることで腹を満たすが、食欲は限られている。気づけば、人間たちは持ち上げまくり、ゴマすりまくったおかげで、カミガミは増長しまくって……という世界で、虫害による王国の危機を救済してもらうべく、王様がカミを頼ったら、そこにいたのは、カミの中でも法外要求当たり前の悪名高いカミ・ザオネイルで……というわけで、王の娘であるアイリスが、その身をザオネイルに捧げることになってしまったという、コミカルで結構ラブい物語です。

ああ、楽しい。
捧げられた身として、ドキドキしながらカミの前にいったら、ザオネイルは約束を忘れてて、誰お前?状態だっていうんだから、そりゃ怒るのも無理ないけど、願いを叶えてもらうべく、捧げられた女の子が、カミをたきつけてくっていうんですから、笑えます。
元気よく追い掛け回すアイリスと、逃げ回りながらも、実は結構彼女を気に入ってるザオネイルの掛け合いが、なんとも楽しいですが、喧嘩しながらも、相手の事情や、人へ対する思いがお互い見えてきて、だんだんと分かり合っていくところがいいですよねぇ。

ま、お約束のようにアイリスが鈍かったり、持ち上げられることに慣れてしまったザオネイルは素直になれないので、なかなか二人の仲は進まないんですが、それがまたいいんだ。ここに、アイリスの幼馴染である腹黒クール系秀才美男子のレジーが絡んでくると、もうニヤニヤが止まらないです。

第一話で飢饉を乗り越えるお話、第二話がニセガミさまのお話、第三話がふたりの旅の途中であった乙女の恋暴走話と、どれもこれも楽しませていただきましたが、一番面白かったのは、やっぱりお互いが意識し始める第三話かな。
アイリスのために、とある家に滞在したのに、そのことを素直に言わないツンデレなザオネイルが、可愛くて可愛くて。「飲んだぞ」のところも、何を思ってのことなのかわかる読者側からすると、うふふうふふとなってしまいますね。

サクっと読めて、非常にコミカルで、いやあ、面白かった。
ようやくといった感じで、ザオネイルへの気持ちを……自覚したといっていいのか微妙なところですが(そのあたり鈍いから)、二人の旅路は続くみたいですから、そのうち、ね!
って、これ続くよね?続いてほしいなあ。

キャンディ・ポップ  - 倉吹 ともえ

キャンディ・ポップ
倉吹 ともえ

小学館(文庫)
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