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[マリ・マンクーシ] ヴァンパイア・キス

「頼むから、サニー、怒らないで。でも……」
レインはふるえる声で説明を始めようとした。
わたしはレインをきっとにらみつけた。
「でも、なんなの、レイン」
「つまり、ちょっとした手ちがいで、あんたは吸血鬼になっちゃったの」

「吸血鬼に噛まれて」なんてブログを立ち上げちゃうほど、そっち方面が大好きな双子の姉が、吸血鬼と「血の伴侶」となるべく契約したら、間違って妹のサニーが、吸血鬼のマグナスに噛まれちゃって……ということで、一週間以内に何とかしないと吸血鬼になっちゃうという女の子が、人間に戻る方法を探すユーモアあふれる物語です。

いやあ、楽しかった!
卒業パーティに憧れの人から誘われて浮かれるような普通の女の子ですから、吸血鬼云々いわれても、まるで実感わいてないんですけど、日が経つにつれて、ニンニクの臭いがだめになり、昼間起きてるのが辛くなり……といった感じに、吸血鬼化していくから、さあ大変という感じなんですが、そこで、どうにかしなさいよ!と吸血鬼に向かっていくところが、すごいですよねぇ。

姉のレインは、吸血鬼に詳しい分、畏怖の念を持ってたりするんですが、サニーはそのあたりおかまいなしなところが、一般人らしくて面白いですね。三千年を生きてる大吸血鬼に対して、姿が子供だからといって、よしよしとかしちゃうんだから、無知とは恐ろしい。

人間に戻る方法を知っているというマグナスの主人が、登場してすぐに、ヴァンパイア・スレイヤーにやられちゃったりするから、サニーとしても絶望に陥っていっちゃうんだけど、そこをマグナスが頑張って手を尽くして……というところから芽生えていくロマンスは、王道だけど、にやりとさせられるものがあります。まあ、そう簡単にサニーは自分の思いを認めたりしないんですけどね。

人間に戻りたいと思って必死に模索する姿と、マグナスに惹かれてしまう心との間で生まれる葛藤は、やるせないものがあるんですが、これについてサニーの決断に一役買ったのが、姉レインだってのが良かったなあ。妹のために、憎まれ役を買ってでも、本音を引きずり出した姿は、やっぱりお姉ちゃんですね。

いやあ、面白かったですね。元気の良い女の子の恋物語は、いつ読んだって楽しいです。
最後に姉レインについて、ちょっとした面白ネタが出てきて、にやりとしちゃうところがあるんですが、どうやら、本国では、姉レインの物語も出版されているんだとか。これはちょっと期待したくなりますね。

ヴァンパイア・キス  マリ・マンクーシ

ヴァンパイア・キス
マリ・マンクーシ

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