何年ぶりかの大雨が鉄砲水を呼び込み、ラビサたちの前に、一人の少女が流されてきた。ファティと名乗る美しき少女は言う。自分はとある部族の族長の娘で、嫁入りの旅の途中で大雨に遭い、川に流されてしまったのだと。彼女の言葉に疑惑を抱いたジゼットだが、彼女を送り届けてあげようと言い出したラビサを止めることはできなかった。だが、彼女の秘密によって、ファティを送り届ける旅へと出たラビサとジゼットは、騒動に巻き込まれることになり……
沙漠に水をもたらすシムシムの種子を植える町を探す「シムシムの使者」だったラビサと、彼女の旅路を付き合ったジセットが繰り広げる冒険シリーズの第三弾。今回は、ふたりが落ち着いたタラスファルを鉄砲水が襲い、流されてきた美しき少女ファティを、目的地まで送り届けようとするお話です。
初っ端のタラスファルの雰囲気がとても素敵だなあ。働く大人と、興味津々に近寄ってくる子供たちのやり取りが、とてもいい。毎回毎回、邪魔する子供たちを真面目に怒るヨシヴが、いい味出してて、微笑ましい。
そんなタラスファルだから、美少女が流されてきても疑いひとつもたないのも当然ですが、無条件で信頼しちゃうようなラビサの姿を見ていると、ジゼットのヤキモキ感もわかりますね。少しは疑いを持とうよと思わなくもないけど、彼女が信じるなら、自分が疑いの目を向ければいいとか考えるジゼットの言動に、まったくラビサには甘いんだからと、にやり。
そういえば、ジゼットとラビサの関係は遅々として進まないけれど、雨に濡れたラビサに上着を着せたり、支える振りして抱きしめたりと、さりげなく見せる好意に、クーとなりました。ああ、ラビサ。あなたも、ぜひジゼットに、いろいろやってあげてください。今なら、間違いなく狼狽させられますよ!想像して勝手にニヤニヤ。
ファティの目的はなかなか知れず、何かを隠していることや、人と人の信頼関係に対して憎しみを向ける様子などは伝わってくるんですが、嫌な人というよりは、むしろ、痛みを隠している感じで、なんとも放っておけないんですよねぇ。このあたりを感じたからこそ、ラビサは、騙されていることに気づきながら、信じようとしたんだろうなあ。ラビサの言葉を奇麗事と思いながら、伸ばされた手を完全に振り払うことができないファティの気持ちが、とても切なかった。
そんな強がる姿の中に、彼女自身が抱えた後悔が見えてきて……生きていくために張り詰めていた思いが、ラビサの言葉で、ふっとやわらいだところが、とても良かったです。
いやあ、面白かった。最後はちょっと切なくなりましたが、でも、きっと次があると、希望が持てる終わり方に満足です。できれば、早いところ、出会ってほしいと祈りたくなりますね。
さて、次はどんなお話になるんだろう。また盗賊団話に戻るのかしら。何にせよ、楽しみですね。
沙漠の国の物語~水面に咲く花
倉吹 ともえ
関連エントリー
[倉吹ともえ]
[沙漠の国の物語感想一覧]
[ルルル文庫]
[ライトノベル]
Home > ライトノベル > 沙漠の国の物語 水面に咲く花 / 倉吹ともえ
Trackback:0
- TrackBack URL for this entry
- http://www.booklines.net/mt/mt-tb-t.cgi/2237
- Listed below are links to weblogs that reference
- 沙漠の国の物語 水面に咲く花 / 倉吹ともえ from booklines.net







