従兄弟のユグノスの手によって、国を襲われたルティアナが、助けを求めるために、叔母が嫁いでいる隣国へと向かっていたら、盗賊に襲われている旅芸人の一座を助けたら、ルティアナの騎士であるフィルに出会った。久しぶりに出会えた仲間に歓喜したルティアナだが、騎士であるフィルは、素性の怪しい傭兵のグレイたちに嫌悪を表し、グレイもまた騎士の態度に不満をもって……
国を奪い返すために、単身、城を抜け出した王女ルティアナが、傭兵グレイやお調子者貴族カナル、傭兵集団長の息子サイラスと、逃亡の旅をしていたら、ルティアナの騎士であるフィルの登場で、一行に分裂の危機が訪れるお話。
いやまあ、フィルの気持ちも分かりますよね。路銀がなくなったからと言って、イカサマ博打で稼ごうとして、あまつさえ、姫であるルティアナにまで手を汚させようと言うんですから、グレイたちを見て悪影響を及ぼす輩という判断は、むしろ正しいのかもと思ってしまう僕がいる。
ただ、だからといって、グレイたちが今までやってきたことを否定するような言動は良くないよなあ。今まで自分がルティアナを守ってきたのに、後れてきた分際で、グレイが面白く思わないのもわかりますよね。まあ、グレイの気持ちは、ルティアナを思うがゆえの嫉妬がかなり見えてましたけど。
始めはそれほど気にしてなかったのに、段々とルティアナへの思いを自覚していって、戸惑うところには笑わされるばかり。いや、真剣に悩んでるんだろうけれど、ごつくて荒々しい男が、恋に悩む姿を想像しちゃうと……頬緩みますよね?
グレイとフィルの間を掻き回すカナルの行動に、趣味が悪いなあと思いつつ、どうなるのか興味津々でした。
ぶっちゃけ、こっち側の話が気になってしまったので、本来の話であるカナルと弟ユーリの確執についてが、イマイチ興味をもてなかったなあ。サブタイトルに謀略ってあるけど、それほどのものでもなかったからかもしれないけど。
とはいえ、権力争いに巻き込まれて、いつしか冷えていった兄弟の間柄が、再び温かさを取り戻せるかもという希望を見せてくれたところは良かったですね。ルティアナの言葉は、甘いようにしか思えませんが、信じてみたくなるものがあるのは、人柄なんだろうなあ。
だからこそ、囚われの身となったルティアナを助けに行くとき、誰一人として躊躇しなかったんだと思います。あの大一番は、強引な気もするけれど、一丸となって動く姿が見れて、良かったなあ。特にサイラス。あんた格好良すぎだよ。クチは悪かったりするけれど、一番役に立ってましたね(最後の女装も含めて)。
お互い後悔を胸に抱えているのが見えていただけに、グレイとルティアナが、最後に手を取り合えたことは、嬉しく思いました。
ただ、個人的には、もうちょっと恋愛要素は引っ張って欲しかったかなあ。引き延ばしじゃないですけど、ジリジリさせられるような駆け引きというか、やり取りみたいなものがもっとあってくれたら、すっごい好みだった……って、完全に好みの話ですね。はい。
続きは……どうしようかなあ。キャラ同士の掛け合いが楽しい冒険ファンタジーでしたが、いろいろ物足りないところもあるので、手に取るかどうかはそのときの気分次第かも。あ、でもスイレンの正体は気になる……。
BURAIなやつら~貴公子の謀略 (小学館ルルル文庫 あ 1-2)
あまね 翠
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