敵の手から家人を守ることはしない。そう言いきった桐子を、敵の刃からかばったのは、術も使えないミキだった。力もないくせに、なぜ?と戸惑いを隠せない桐子は、今までない迷いを覚えるようになった。
自分の術をあっさりとかわしたあのムカつく男なら、ひょっとして、何か打開策を持っているのではないか。そんな思いを胸に抱えていたら、あるとき、夢の中で、その男、武見志郎と出会って……
十歳にして神島家を継いだ神島桐子が、使役鬼と共に、帝都にはびこる「人喰い」事件に関わっていくお話の第二弾。今回は、今まで孤独に生きてきた桐子が、人を、家を「背負う」ことに戸惑いを覚え始めるお話です。
なるほど、術の才こそあれど、まだ十四歳だということか。当主となる前から、当主になっても、「力」の強さのみを求められてきた少女にとって、好意を持って接してくる人に対して、戸惑いを覚える姿は、寂しくなるものがあります。普通に接する、それが一番難しく思うのですから。
ただ、戸惑いを覚えながら、それを絶対に認めようとしない少女が、聖や家人の言葉から、迷い始めるところは良かったですね。不安に思いながらも目を逸らし、それでいて気にかかる。夢の中(と桐子が信じたところ)で武見志郎と出会ったとき、彼女の本音が見えたところに、ああ、こうして人は成長していくのかと思いました。期せずして聖の思惑通り、彼女の「友達」となる決意をした志郎の言葉も良かったです。
この二人のやり取りは、とても微笑ましくて、特に釣りのシーンは、イラストも映えてて素敵でした。ああ、こうして、二人は近づいていったんだなと思った次第。
とまあ、神島家周辺のこともさることながら、「人喰い」と帝都を囲う闇についても、だいぶ見えてきましたね。いつもながら、やはり恐ろしいのは、人なんだと思いました。闇の怖さを良く知らぬものが、生半可な知識で手を伸ばし始めたらどうなるかは、いろいろ思うところがありますが、ミキのこともあるので、きっと桐子は容赦しないでしょうね。
いろいろあったおかげで、やり込められる……とまでは行かなくとも、こちらのペースにはもっていけてないので、次あたりに、今までたまった鬱憤を晴らしてくれることを期待してます。
封殺鬼―鵺子ドリ鳴イタ (2)
霜島 ケイ
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