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[壁井ユカコ] エンドロールまであと、

地方の旧家に生まれた双子の高校二年生、佐々右布子(ささゆうこ)と左馬之助(さまのすけ)の関係は最近ちょっとぎくしゃく気味。今までいつも一緒にいたのに左馬之助がどこかよそよそしいのだ。右布子はその原因が何なのかよくわからないまま、生まれて初めて積極的に友達を作ろうとしたり、二人が所属する映画研究会で映画を作ったりと日々を過ごすが――"その想い"を自覚できない姉と、自覚してしまった弟の、禁断の恋の物語は静かに熱く動きはじめる。

あらすじは、ルルル公式ページから。

これはとても切ない気持ちにさせられるお話でしたね。弟に依存する精神的に幼い姉の右布子と、姉への思いに気づいて距離を取ろうとする左馬之助の恋物語であり、二人と同じ映画研究会に所属する清野亜寿と西丸貴大との青春物語でもありました。個人的には恋愛部分よりも、青春部分のほうが好きだなあ。

右布子と清野亜寿が、お互い自分にないものを持っている相手に嫉妬していたのに、共にひとつの作品を作り上げていく中で、いつしか友だちと呼べる間柄になっていくところや、夢を諦めざるを得ない立場にいる貴大が、映画作成を通じて「今」を残そうとする姿が、ほんと素敵でした。録画された何気ない日常のシーンに、グッとさせられることが幾度あったことか。

四人の繋がりを感じる間に、右布子と左馬の距離もまた縮まっていくんですが、右布子の危うさは、旧家としての格式を一番とする祖母の抑圧が生んだものだと知れてくる展開が何とも重苦しい。忍び寄る不安が、徐々に見えてくるところは、心が痛くなりましたね。一卵性双子だからこその繋がりが、相手への愛しさと、それ以上の歪みを見せてくれるところに、何とも言えない気持ちにさせられました。

自覚した思いが、自分を、相手を追い詰めて……というところから、如何にして祖母の支配下から逃げ出すかを考えるところは、面白かったですが、最後はもう……。分かっていても、切なさで胸がいっぱいになる展開に、そっと瞼を閉じました。あの場面を見たとき、タイトルがとても心に残りましたね。

いくつかもっと語ってほしいなと思うところがありましたが、「今」を感じられる物語に酔いしれました。うん、やっぱこの人の物語は、心に沁みるなあ。

エンドロールまであと、  - 壁井 ユカコ

エンドロールまであと、
壁井 ユカコ

小学館(文庫)
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