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とある飛空士への恋歌(4) / 犬村小六

みんな無事だろうか。誰も傷ついていないだろうか。後方索敵を任されるようだが、どうかつつがなく職務をこなせますように。
わたしはただそうやって、聖アルディスタへ祈ることしかできなかった。いま戦場の空を飛んでいるであろう同級生たちがひとりも欠けることなく、また昨日と同じ明日を迎えられますようにと。
祈りは届かなかった。

空の果てを探す帰る保証のない旅に、飛空士を目指す少年少女が乗り込んで……元皇子にして革命によりすべてを失ったカルエルと革命の旗印となった少女・ニナの出会いが見せる愛憎劇の第四弾。悲しみと苦しみを抱え、疲弊した飛空科生徒達の前に、再び「空の一族」がやってきて……というお話。

男には格好つける時がある。もはや盾としてしか必要されてないことを知りながら、それでも空へ飛ぶ決意をした男の子の思いに胸が熱くなる。好きな人の為に、仲間の為に、震えながら泣きながら飛ぶシーンには、はやく逃げてと言いたくなるんですが、それでも飛び続けて味方の目となった決意を示して、それに一千名が応えてくれたことが、じんわりでした。必死に生きて生きて……辿り着いて欲しかった。

それにしても、死ということが重くのしかかるお話でした。生き残った人たちの間に漂う空気が重く、立ち直ろうとする行動からして、死を意識させられる。「最高の照明弾」と言われたときに、涙が止まらなかったよ。

中でもクレアは、同じ生徒でありながら守られる人でもあるが故に罪悪感が大きく、ついカルエルに……たぶん自分を罰したかったんだろうなあ。好きだと言われ、思いを自覚してしまったら、そしてカルエルの正体を知ってしまったら……彼女の想いに胸が痛くなる。

一方、悲しみよこんにちはと言わんばかりに、不幸に陶酔していたカルエルでしたが、そんな彼を立ち上がらせたのが、これまであまり関わり合いのなかったイグナシオというのが面白い。カルエルとイグナシオの関係もさることながら、憎まれ役を買って出て、最強のペアとなっていくふたりが格好いいったらない。憎まれ口を叩きながら、何かと手助けしてくれるツンデレなイグナシオは、これからも頑張って欲しい。

イスラVS空の一族は、イスラ側の劣勢一辺倒で、切り抜けたと思ったら再び攻撃の連続に、もう……と思いましたけれど、最後に切り抜けるきっかけとなったのが、愛する人の言葉だったことが、とても印象的でした。ついに風が……

でも、そのことがクレアを、カルエルを追い詰めることになるのか。これ以上の被害を出せない軍としては、仕方ない決断なんだろうけれど、ふたりはどうするんだろう。

とある飛空士への恋歌 4 (ガガガ文庫) - 犬村 小六

とある飛空士への恋歌 4 (ガガガ文庫)
犬村 小六

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