「お、お前になにがわかる!自分のことは自分が一番……」
「わかってねえよ!お前はな、いつだって自分のことが一番わかってねえ!そういう面倒くせえやつなんだよお前は!」
純文学作家を目指すラノベ作家ブンガクこと矢文学の恋と創作模様を描くシリーズの第三弾。シリーズの売り上げが落ち込み始めた頃、文芸出版社から執筆依頼が舞い込んできて、揺れる最中に明日葉との関係が……というシリーズ最終巻です。
面白かった。恋は、時に人を弱くすることもあるけれど、支えにも強さにもなるんですよね。嫉妬したり被害妄想しちゃうのは、自分に自信がないからですが、それを乗り越えていくのに支えてくれる人たちがたくさんいたというのは、なんと素敵なことか。恋だけでなく、執筆についても同じで。
書きたいものと編集が求めるものに差が生まれてきて、ラノベ書きさんたちとの交流を経て意識の違いに引け目を感じて。そもそもライトノベルとは何かというところで迷い、堅物な祖母の登場で文学方面に目を向ける様は、逃避のように思いましたが……圭介、君は良い仕事するよ。「あなたにとって、ライトノベルとはなんですか」という問いにたいして、ひとつの答えがここにあると思いました。
物語を紡ぐ事への思いと揺れ動く恋、そのふたつを描きながら辿り着いたラストは、ほんと良かったなあ。人を信じるって難しいけれど、信じられる人がいることは、とてもいいものだと思いました。素敵な素敵な笑顔で終わるシリーズに出会えて良かったです。
ラ・のべつまくなし 3 (ガガガ文庫)
壱月 龍一
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