「それにしても……立花社長なら、こんなふうに必死で前日に記者会見の想定を考えなくても、即興でどんどんやっていけるんだろうな。つくづく自分の経験の足りなさを感じるよ」
「経験?それがどうしたというのだ。巳継、お前には優秀なブレーンがいる。立花は一人だが、俺たちは五人。だからお前は決して立花には負けない。俺たちはひとりじゃないんだ」
建国目指して、革命部を作った高校生たちが、事業展開を始めていくお話の第三弾。企業買収が大ピンチのときに、莉音が倒れてしまい、自分達だけで大企業に立ち向かうことに……というお話しです。
うお、この引きは卑怯だ……
アクアスとのTOBは絶体絶命すぎるのに、意外にあっさりと資金調達できて拍子抜けでしたが、そこからの対決が面白い。「日本政府の転覆」と言った発言が取りざたされて、あちゃーと思っていたけれど、たしかに普通に考えれば、あれは大ホラにしか聞こえないので、そこをうまくついて切り抜けていく展開が面白かった。これまでいるだけ邪魔だと思っていた恒太が、その才能を発揮したら、何こいつ格好いいじゃない!
莉音が倒れたことは、革命部に大きな衝撃をもたらしたけれど、ひとりひとりが覚悟を決めて、立ち向かう強さを生み出したところが良かったです。仲間がいるってこんなに心強いものなんだなー。押されていた状況を何とか逃れ、そこで安心せずに突き進んでいく勢いには、読んでるこちらが押されましたよ。
乗り越えた後、莉音を迎えて涙する一同の姿に、涙した。全員素敵に成長したけれど、その中でも巳継、君は胸を張っていい。
これでひとまず区切りが付いたかなと思ったけど、止まらないから革命部は、というか莉音は恐ろしい。そろそろ身の危険を感じるころだけど、それでも誰一人降りようとしないシーンには、じーんと来てしまいましたが、建国に向けて着々と計画を進め、さらなる買収を始めようとするところで幕……だけど、この終わり方はヤバイ。どう考えたって買収できそうにないのに、何やら裏道があるとか言うんだもんなあ。とてもとても気になります。
羽月莉音の帝国 3 (ガガガ文庫)
至道 流星
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