「いい気分だ、ぞくぞくしやがる。天下の命運を賭けた一戦にゃふさわしい」
「天下?そんなものは知らねえな。ここにいるのは俺とお前だ。世界なんかを言い訳にすんなよ。らしくねぇぜ。もっと単純に行こうぜ」
見鬼の才に悩まされていた藩士の新之助が、拝み屋、化け猫、犬神と出会い、旅を続けるシリーズの第三弾。今回は、公儀隠密妖異改の依頼を受けた新之助が、抜け荷の首謀者を突き止めるべく、ひとり薩摩へ向かって……というお話。
ああ、新之助にとって、ふくろうはこんなにも大きな存在だったんだ。
暗い印象を受ける始まりから堕ちて行く様に、何ともやりきれない思いでしたが、そこまでして強さを求めたのは、追うことを決めたからで。この決意が何とも痛々しく思ったものです。
でも、根がそんなすぐに変わるわけがなく。世を捨ててまで強さを求めたのに、出会った人たちを守るため戦う姿に、やはり新之助は……と嬉しく思いました。旅先での出会いだけでなく、ひとり堕ちることを決意したにも関わらず、支えてくれる仲間がいることを知ったから、彼は強くなったんだと思います。
ふくろうが背負ったものは、たしかに重いかもしれない。でも、それを血と称して戦うのではなく、個として立ち向かった新之助の思いが、熱くて切なくて……お互い相手を思い合っていることが伝わってくるだけに、斬り合う姿が苦しかったです。
ひとまず決着がついたものの、まだ話は続くみたい。今度はどのあたりの話になるのか楽しみです。
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