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羽月莉音の帝国 / 至道流星

俺たちは沈鬱な面持ちで、柚さんの輝くような微笑を、ただただ呆然と見つめ続けていた。
部費1000円、莉音のポケットマネー5000円、借金276万8000円也。
どうしてこうなった。

幼い頃から冒険家の父親に連れられて、世界各国を旅してきたひとつ年上の従姉妹・羽月莉音。彼女に振り回されるのは、幼馴染三人にとっていつものことだった。だけどまさか、高校の部活で、建国を目標として革命部を設立するだなんて……建国目指して、革命部を作った高校生たちが、事業展開を始めていくお話です。

なんだこれ面白い。
莉音のわがままっぷりや他人の言葉を聞かずに振り回して行く様は、ハルヒを連想させるものがありましたが、事業が波に乗り始めてからの展開がすごいです。

まずは資金をと、いろんなアイデアを形にして、失敗もあるけれど、いけそうだと思ったら集中、うまくいったら売却などなど、次から次へと手を打つトントン拍子にニヤリ。でも、このままだと危なそうだなと不安に思うころには、ちゃんと次の手を打つ莉音の手腕に惚れ惚れです。普段はムカつくけど。

それにしても、株式を公開するには大変な手間があるというのに、こういう切り抜け方があるのか。こっち方面は全然知らないから、驚かされてワクワクさせられるばかり。一見、無謀だと思ったことが実は先を見ていて、というのは、やられたと思いました。たった五人の革命部が、ここまでくるとは……痛快でした。でもまあ、これは激しくブラック企業だよね。

理不尽な行動が多い莉音はあれだけど、他のキャラも個性的で好ましい……人もいる。恒太はなんのためにいるのかわからないナルでしたが、ドジっの先輩の微笑ましさや、何より巳継の事が大好きな沙織の健気さが泣ける……この子が不幸にならない事を祈るばかり。

莉音の行動の原動力はまったくもって卑怯だと思いましたが(理不尽さを許しちゃうじゃん!)、彼らがどこまで駆け抜けていくのか、続きが楽しみでなりません。

羽月莉音の帝国 (ガガガ文庫) - 至道 流星

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