「お久しぶりですねぇ」
「いつもいっしょですが?」
わたしはおかしくなって、声を出して笑いました。
「そんな気はしませんでした」
「まだ、さびしい?」
「いいえ」わたしの答えは決まっていました。「頭の中で、いつでもお茶会が開かれているようなものですから」
衰退した旧人類となった人間と、次の「人類」である妖精さんの交流を描くお話の第五弾。今回は「わたし」が調停官となる前に過ごした<学舎>のお話「妖精さんの、ひみつうのおちゃかい」と、世界がドット絵ゲームになる「妖精さんの、いちにちいちじかん」が収録されています。
これは素敵だった。「妖精さんの、ひみつうのおちゃかい」には、どれだけ感動させられただろう。
幼い頃、祖父から離れ、寄宿舎に送られた「わたし」の心は閉ざされていて、孤独で、人に期待することなく、ただやり過ごすだけの毎日は、読んでいて痛々しいものがあり、ほんと辛かった。人の好意すら素直に受け取れないんですから、荒んでますよね。
そんなとき出会ったのが、家政婦ロボットと妖精さん。孤立した彼女が心を開いたのが人以外というのは、何とも皮肉なものですが、この出会いがあったから寂しさを自覚していったんですよね。
人間関係に巻き込まれて、いつの間にか友達ができて。寄宿舎に入ったばかりだった頃だったら跳ね除けていた先輩たちとの出会いから始まるお茶会は、ちょっとびっくりすることもあったけれど、微笑ましい思いになりました。
こうなると、卒業の時なんてもうね……ほろりときちゃいますよ。 ほんといいお話を読んだなあ。
「妖精さんの、いちにちいちじかん」は、変なお話でした、っていつものことか。万物ゲーム機によって、世界がゲーム化しちゃうんですが、そのことを登場人物たちが認識してないので、なんともシュールです。要所要所で見せられるゲーム模様に気付かされると、思わずニヤリとしてしまう。
グミが四つ揃ったら消えちゃうとか、レンガが一例う揃ったら無くなっちゃうとか。掘った穴が埋まるところでは爆笑しちゃったけど、ボクはあまりゲームに詳しくないので、知ってる人ならもっとニヤニヤなんだろうなあと思ったり。
それにしても、妖精さんがリアルになると怖いですね。
人類は衰退しました 5 (ガガガ文庫 た 1-6)
田中 ロミオ
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