てことは、マジで、かぐやがケータイを宇宙に送るなら、自分でロケット作るしかないのか。女子高生がたった一人で?バカでかいロケットを?無理だ。無理に決まってる。
これまでの人間関係をリセットしたい生徒が集まる学校で、クラスの秩序を保つために暗躍していた褐葉貴人は、転校生によってその地位を脅かされることになった。転校生・久遠かぐやは、かつて貴人がイタいほど追いかけていた元歌手だったのだ!弱みを握ったケータイで宇宙人と会話をする痛い女から告げられたこと、それは「宇宙人が擬態したケータイを宇宙へ連れて行って」というもので……行き場のない連中が宇宙へを目指す青春物語。
方々で評判を聞いて、ロケットものといわれたからには、手を出すしかないでしょうと思ったけど、これはいいなあ。自分も空を目指したくなる。
ロケットというと、NASAとかの打ち上げの映像を思い浮かべてしまうから、ものすごい技術が必要と思ってたけれど、打ち上げるだけだったら、仕組みそのものは決して難しくないんですね。三十センチぐらいのものを飛ばした瞬間の感激は……、わかるなあ。それまで、仮に電波な女の子に弱みを握られて、仕方なくというか、ごまかしの一手としてロケット作りをしようとしてた貴人が、だんだんとロケットに魅力を感じていくところが、とても良かった。
もちろん、宇宙を目指すのはそんなに簡単ではなく、重量が増えれば問題が生まれ、大きさが変わればまだ問題が増えて行く、という感じで、試行錯誤の連続なんだけど、貴人だけでなく、廃れていたロケット部の面々の心にも火がついて、弱音を吐きながら、倒れそうになりながら、秒速7.9km、いわゆる第一宇宙速度を目指す過程が熱くてたまらない。
もともとクラスに秩序をもたらす役目を背負っていた貴人が、ロケットにかまけたおかげで、彼個人には大きなトラブルが振りかかるんだけど、辛くても耐え切れたのは、罪の意識と、なによりかぐやのためを思ってたからなんだろうなあ。
繰り返される歴史の悲劇によって、大いなる絶望を味わったあと、再び走り出すことは、決して許されることじゃないと思うけど、反省しても止まらない思いがあるのはわかるし、何よりたどり着いたことに、涙を流さずにいられなかった。
ぶっちゃけ、ここまできたら飛ぶ飛ばないは、関係ないよなあと思ったけど、まあそれはそれ。
最後まで嬉しくなるお話で良かったです。ひとつのことに皆で夢中になって取り組んでいくお話って大好きだなあ。それが宇宙を目指すならなおさらです。
良い物語に出会えてよかった。
ほうかごのロケッティア (ガガガ文庫)
大樹 連司
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