「大丈夫、すぐ騎士団が来てくれるから」
「うん……がんばる。イスラのためだもんね」
彼女は決意を込めた表情で、彼を振り向いた。
ふたり、目を合わせて頷く。覚悟はできている。
大好きなイスラのために。
空の果てを探す帰る保証のない旅に、飛空士を目指す少年少女が乗り込んで……元皇子にして革命によりすべてを失ったカルエルと革命の旗印となった少女・ニナの出会いが見せる愛憎劇の第三弾。今回は、空飛ぶ島イスラで「聖泉」にたどり着いたものの、そこへ「空の一族」がやってきて……。
涙なくして読めなかった。
飛空士を目指す少年少女たちが、厳しい訓練を経て、日に日にたくましく、クラスメイトたちとの絆を深めていって、空を飛ぶあこがれを胸に温めていく序盤が、とても素敵なだけに、そこから始まる戦争への不安に、ドキドキしていたんですが……。ああ、やはり悲劇は起きるのか。
空を飛びたい、その思いだけでは許されずに戦争が始まるところに、やりきれない思いでいっぱいになりますが、仲間への思いを胸に抱いて、戦闘機を飛ばすことになる学生兵士たちの姿は……
正規兵ですら混乱させられる戦場で、焦りと不安を抱えながら、死を覚悟して、自分の出来ることを、照明弾を撃つことを決意した覚悟に、涙が止まらなかった。
「くじけないで」「空の果てを見つけて」
戦争を目の当たりにした彼女の心は、大きなショックを受けると思うけど、でもこの言葉が支えになってくれると信じてる。
生徒たちにしても、クラスやら役割やらで、イスラの様々なところで待機してたんですが、次から次へと、戦いに巻き込まれて、ああこれが戦争なんだと、高揚気分を吹き飛ばす展開がすごかった。
制空権は相手に取られ、生き残ることすら絶望的になったとき、現れた……「海猫」が所属する新たな勢力は、いったい何ものなんだろう。敵の敵は、はたして味方になるのでしょうか。
少なくとも、カルエルは目標とするだろうけれど……。
後半にはいってから、クレアがまるで出てこなかったのも気になるし、いったいどんな展開となっていくのか、続きが待ち遠しくてなりません。
とある飛空士への恋歌3 (ガガガ文庫)
犬村 小六
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