「おまえさんは本気で犯人を捕らえて、妖精を取り戻したいんだな?」
「もちろんだ」
すこしばつが悪そうに長剣を鞘に戻し、ティラナは言った。
「実は俺もなんだ。だってのに、なで俺らはこんな薄汚い路地裏で、みっともなく怒鳴り合った武器を突きつけ合ったりしてるんだろうな」
妖精や魔物などが存在する異世界のセマーニと地球がゲートで繋がり、交流を経るようになった時代。あちらの王国の準騎士であるティラナが、こちらのサンテレサ市警察に入り、ベテラン刑事のケイ・マトバとコンビを組んで、事件に立ち向かうシリーズです。
ドラグネット・ミラージュとして、ゼータ文庫で展開していた作品の改稿版。ヒロインの年齢が幼くなったかな。異世界との関わり合いがあるという設定だけど、海外ドラマのような展開は、とてもスピーディで面白い。
ただ、若干ハードボイルドさが薄れたかな?改稿前は「アメリカのケーブル局で放送された連続ドラマシリーズのノベライズ」というネタを思わず信じてしまいましたが、そのあたり薄れた気がする。再読だからというのもあるかもしれないけど。
何より面白いのは、「妖精」を「加工」した麻薬のディーラを追うために、急遽コンビを組まされたケイとティラナの様子でしょう。
異文化コミュニケーションじゃないですが、どうしたって意思疎通が図れないところがあり、コンビを組みつつも、ツンとしていたふたりが、ピンチを切り抜ける度に、だんだんと信頼が築かれて展開がとてもいい。
犯人を追う立場であるから、どうしたって後手に回ってしまうんだけど、お互いの知識を補いながら命をはる姿は格好よかった。
事件の裏に隠れていた現実は残酷なもので、やりきれないものがありましたが、ソレを乗り越える強さが印象的でした。
いやあ、やっぱり面白い。
ゼータ文庫時代に読んで、とても好きなシリーズだったので、こうして戻ってきてくれたのは嬉しいですね。続きも出るらしいし、その後に新作も予定されてるらしいので、楽しみでなりません。
コップクラフト (ガガガ文庫)
賀東 招二
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