「私でもできる?」
「できると思ったから誘ってる」
わずかな沈黙。
「ならやってみる。けど、ひとつだけ……」
「なに?」
「手……つないでくれたら」
2009年下半期ライトノベルサイト杯の新規作品部門で 12票を集めていたので気にかけていたら、ラノサイ杯企画の主催者である平和さんが「美少女文庫よりエロい」と仰ってたらしいので、読んでみることにしました。
先生に頼まれ、輪玖は不登校となった幼なじみの香苗の様子を見に行った。彼女が席を外している隙にこっそりPCを覗いてみたら、アダルトチャットに出入りしているらしい?いったい何をしているんだとサイトを訪れたら、女王として君臨しているにゃー様と出会った。幼なじみとはまるで違う性格に、彼女ではないと思いながらも、だんだんと入り浸るようになり……幼なじみとクラスの気になる女の子と、にゃー様に振り回される中学生の男の子の青春もの……といっていいかな。
面白かったです。
先生に言われたから。幼なじみだから。そんな理由をつけて、香苗の様子を見て、学校外で課題を一緒にこなして行くうちに、ふと思い出す情景などから、少しずつ想いを取り戻して行くところがいいんだ。優等生として過ごしているうちに、いつの間にか硬くなになっていった心が、あることに気づいた……と思ったんだけど、なかなか心の内を見せない男の子なので、さて実際はどうなのかしら。
ちなみに幼馴染みとの距離を縮めるきっかけを与えてくれたのは、にゃー様ですね。チャットでしか会えない少女は、実際の年齢はわからないけれど、興味本位でやり取りしているうちに、だんだんとハマっていくんです。まるで自分のことを知ってるかのような言葉の切れ味と、変態っぷりは、転がされながら転がしてて、なるほどハマるわけだ。
不意に感じる、もしかしたら知り合い……?という一瞬も、惹きつける要素だったのかもしれません。
おそらくはこのやり取りが、いい意味で抑圧されたものを解き放つことになったんだと思います。……賢者タイムとかいうとあれなので自重しておく。
届きそうで届かないもどかしい思いと、好きじゃないといいながら抱きしめてキスをするやり取りが、何とも言えなかった。
このお話では、もうひとりヒロインがいて、才色兼備で明るい結華さんは、輪玖のクラスメイトでありながら、憧れの存在でもあって、物語の中では、むしろこちらに惹かれる感じがあるんだけど、結華さん側の描写が少なくて、いろいろ物足りなくもありました。まあ、物足りないと言う意味では、結華だけでなく、香苗の心理描写もあまりなかったんだけど……
このあたり、二巻で描かれるのかしら。にゃー様の正体も未だつかめていないし、いろいろ気になるので、続きを読んでみます。
絶対女王にゃー様 (ガガガ文庫)
J・さいろー
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