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[虚淵玄] アイゼンフリューゲル

今までにも予感はあった。空を舞う龍の姿に、何か通じ合うものを感じてはいた。有り得なかろうと囁く良識の声が、その直感を曇らせていた。
だがもはや懐疑はない。カールは今こそ心に誓った。
理由もいらない。成果もいらない。ただ龍の如く飛び、龍の如く舞おう。
ブリッツフォーゲル — ヒトの英知の粋たるこの翼は、あの龍を前にしても誇るに足るはずなのだから。

龍 — それは空において、人類が未だ到達できない速度で飛ぶ絶対の存在。いつか彼らに追いつき追い越すことを夢見て、画期的なエンジンを積む「プロジェクト・ブリッツフォーゲル」で空へと挑むものたちの物語。

これは熱い。空に龍がいるというだけでもワクワクさせられるのに、その龍たちが飛ぶ早さを対決していて、人類がそれに挑むというシチュエーションは、心躍るものがあります。
言葉は通じないのに、競いあうときに伝わる意地は、どちらも同じものを持っていて。だからこそ、勝負の行く末には、熱い感動を感じるんだろうなあ。

そんな空へ挑む彼らだけど、世間のしがらみから逃れることはできず、資金提供に軍が絡んできたら、ただ空を飛ぶだけのために、速さだけのために、期待を作るわけにはいかず。
現実と理想の狭間で板挟みになりながら、それでも音よりも早く、空気が牙を向く音速を目指す技術者たちの職人魂にしびれたりしました。こういうの大好き。

現実は理解しても、心が軍を拒絶する。そんな頑ななカールは、過去に何があったのか気になったんですが……このあたり語られたけど、ちょっと物足りなく思ったのは、サクッと描かれてしまったからかしら。一度手を放れたのに、再び操縦桿を握るまでの道のりは、もう少し深く掘り下げてほしかったなと思いました。

てっきり一冊ものかと思っていたけれど、どうやら続くようです。戦争という時代の中、早さを求めて、どれだけ空へ挑むことができるのか。期待して続きを待ちたいと思います。

アイゼンフリューゲル (ガガガ文庫) - 虚淵 玄

アイゼンフリューゲル (ガガガ文庫)
虚淵 玄

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