「こーいち、怖いの……?」
マキエルは鋼一の頭からするすると降りて、肩の上から鋼一の頭をのぞき込んだ。
「大丈夫。『怖い』は勇気を知るための初めの一歩だよ。全然恥ずかしいことじゃないよ」
17歳のとき爆発事故に巻き込まれて死んだ鋼一の目の前に、小さなサルのような姿をしたマキエルが現れた。マキエルは言う。七年前に戻って人生をやり直し、奇跡の欠片を手に入れれば助かる、と。死んでしまうよりは、と鋼一はマキエルの提案を受け入れて、小学四年生からやり直すが……というお話。
これは良かった。
奇跡の欠片が何かは提示されないため、何をすべきかわからないけれど、だったらできることをやっていこうと、今まで後悔というか、あのときやっておけばよかったと思ってたことを、勇気を出してやっていくという展開がいいです。
17際が10歳になったら当然できることもあるように思うけど、実際のところは10歳も同然の精神状態になってるのは、イラつくこともあるけど、わかる気もする。なんていうか、集団で活動していると切手、自分なりのポジションがあるから、何となくそこに入り込んでしまうんですよね。きっと鋼一にしても、そういうところから弱気がでてきてしまったんじゃないかしら。
勇気を振り絞ったおかげで、甘酸っぱい初恋をして、そんな様子にこちらまでむずがゆくなったりする楽しい雰囲気を味わいながら、でも何かが起こりそうな様子にドキドキ。
表紙に描かれている三人の女の子とは、それぞれ辛みが生まれるんですが、ああ、そういう意味だったのかという繋がりが見えるのは良かったです。特にヒロインの役割が素敵でした。まっすぐで、かわいくて、嫉妬して。そんな自分をちゃんとわかる元気な女の子は大好きです。
でも、このお話で一番切なかったシーンは、マキエルとの最後ですね。いつの間にこんな近くにいることが当たり前になっていたんだろうと思いながら、喪失感をともに味わいました。この切なさがあるからこそ、最後が温かく感じたんだと、そう思いました。
第3回小学館ライトノベル大賞ガガガ賞受賞作。
その日彼は死なずにすむか? (ガガガ文庫)
小木 君人
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