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[犬村小六] とある飛空士への恋歌

「わあ」
ふたり揃って思わず感嘆の声を上げた。
「わたしたち、雲のうえを走ってる!」
クレアが今日はじめて、はっきりした声でそう言った。
「すごいすごい、自転車で空飛んでる!」

空の果てを探す。帰る保証のない旅に出る空飛ぶ島「イスラ」に乗りこんだ飛空士を目指す少年 ― 元皇子にして革命によりすべてを失ったカルエルが、革命の旗印となった少女・ニナと再会して……という物語。

これは面白かった!やっぱり空にはロマンがある。
落ち込んでいたときに始めてみた空の青さや、雲の中を飛ぶように進む気持ちよさなど、まるでその場で感じることができるかのように描写されてて、素晴らしい。特に雲の中を走るシーンは、イラストも素敵でした。
ああ、ラピュタがここにある、なんて思ったり。

飛空士を目指すことになる元皇子カルエルは、スポイルされた皇子らしい性格が、庶民になっても抜けきらないわけですが、それでもアルバス家に引き取られたことは、彼にとって、とても良かったんじゃないかしら。母の代わりに、義理の姉たちから温もりを教わったことや、義理の妹となったアリエルのツンとしながらも支えてくれる優しさは、彼の支えになってると思います。
紗に構えることが多く見えていたけれど、義理の父とのシーンで心を開いたところが、非常に印象的でした。

ただまあ、立場が立場なだけに、カルエルの存在は疎まれるため、イスラに乗せられたのは、体よく追い払われたも同然なわけですが、ここで出会ったちょっと天然な雰囲気を持つクレアに魅了されていくところは、微笑ましさを感じたり。
あ、でも、そうなると、アリエルが可哀想でもあるか。幼いころから淡い思いを持っていた彼女がどう動くのかは気になるところです。

っていうか、このロミオとジュリエット状態は、下手すると悲哀になりそうで、ドキドキしてきました。続きがどうなっていくのか楽しみです。

とある飛空士への恋歌 (ガガガ文庫) - 犬村 小六

とある飛空士への恋歌 (ガガガ文庫)
犬村 小六

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