「なあ、ここで止めておかないか」
唯一正気を保っているイーギーの声が絞り出される。
「……引っこんでくださいませ、腰抜けさん。最初に十回、これで最後だと先ほどみんなで決めた以上、やる以外の選択肢はありません、というか許しません」
葡萄酒を一気に開けたジヴの静かな声に、イーギーが怯えたように身を引いた。
シリーズ第五弾は、いつもどおりの掛け合いとシリアスバトルものな「翅の残照」、閉ざされた山小屋でのミステリーテイストな「道化の予言」、ガユスの闇を感じる「黒衣の福音」、大爆笑ものの夕食会「禁じられた数字」、モルディーンの悪辣な遊戯「始まりのはばたき」、ガユスの不運満載な「幸運と不運と」、戦いの化身のようなギギナの「刃の宿業」、ミニパロディ?な「されど極道は仁義と踊る」という、500ページ超えるバラエティに富んだ短編集です。
どの話も濃厚で面白いんだけど、一番楽しかったのは、引用にも使った「禁じられた数字」です。
みんな仲良くしようよ、というジヴの善意から始まった夕食会の場で、意地の悪いガユスが持ち出したゲームが、まさかここまでとんでもない結末を生み出すとは思わなかった。
ただ数字を告げていくだけなのに、ゲームが進むにつれて生み出される緊張感と、酷くなっていく罰ゲームに爆笑しまくり。このゲームを続けたら、異貌のものどもも倒せるんじゃないかと錯覚を起こしそうになる。
特にジヴ。トップクラスの攻性咒式士たちすら恐怖するその笑顔に、敵に回してはいけない人だと改めて思いました。
され竜で転げ回るほど笑わされるとは予想外でしたが、ほんと楽しかった。
そのほか、ガユスやギギナがそれぞれ一人で見せるお話も良かったですけど、好みという意味では、モルディーンの活躍が見れる「始まりのはばたき」が良かったです。
非道としか言いようがない政治劇を、さらりと繰り広げて、押し負けたように思わせておきながら、それは次の布石だったという頭脳戦には、興奮するばかり。しかも、本気じゃなくて、遊戯に近い感覚でやってるから、ますます酷い。彼が生み出す政治劇な物語は、今後も見ていきたいところです。
いやあ、面白かった。短編集とは思えないほど、濃厚な物語ばかりで、たっぷり堪能させていただきました。
次は長編になるのかどうかわかりませんが、楽しみに待っていたいと思います。
されど罪人は竜と踊る 5 (ガガガ文庫)
浅井 ラボ
関連エントリー
[浅井ラボ]
[されど罪人は竜と踊る感想一覧]
[ガガガ文庫]
[ライトノベル]
Home > ライトノベル > [浅井ラボ] されど罪人は竜と踊る(5) Hard Days & Nights
Trackback:1
- TrackBack URL for this entry
- http://www.booklines.net/mt/mt-tb-t.cgi/2938
- Listed below are links to weblogs that reference
- [浅井ラボ] されど罪人は竜と踊る(5) Hard Days & Nights from booklines.net
- 浅井ラボ されど罪人は竜と踊る5 Hard Days & Nights from たかいわ勇樹の徒然なる日記 2009-02-27 (金) 22:40
- 今日は夕方に本の紹介をしましたが、明日から週末にかけてまた忙しくなりそうなので、もう1冊紹介します。 2冊目は浅井ラボ先生の小説「されど罪人は竜...







