「おやくだちー」
妖精さんが髪の合間から、万歳ポーズで突き出ます。
「……そんなところにいたんですか」
「せまいながらもたのしいわがやですが?」
「失敬な」
衰退した旧人類となった人間と、次の「人類」である妖精さんの交流を描くお話の第四弾。今回は、怪しげな品を里に配りまわる「妖精社」を視察に行く「妖精さんの、ひみつのこうじょう」と、いつの間にやらクスノキの里が世界一の妖精人口密度地帯になってしまったことで、妖精さんに異変が起きる「妖精さんの、ひょうりゅうせいかつ」の二編が収録されています。
「妖精さんの、ひみつのこうじょう」
衰退した人類ってことで、食糧不足はなかなかに深刻なんですが、どこかのんびりした雰囲気は心地よいです。肉を手に入れるために鶏を追いかけていたのに、気づけば加工済みのチキンが走り回ったりしているから、なんだこれは状態ですよ。
もちろん、こんな怪しいことをするのは、妖精さんしかいないわけですが、肝心の妖精さんもなかなか姿を見せないので、いったいなにをしたいんだろう?と、興味津々にさせられます。まさか、下克上があったとは思いもしませんでしたけどね!
わかってみれば、やれやれだぜと思いながら微笑んでしまうお話でした。
ゆる楽しさがたまりませんが、何気にラストのチキン話はシュールだ。
「妖精さんの、ひょうりゅうせいかつ」
お菓子を挙げてるせいか、妖精さんが爆発的に増えてしまったクスノキの里。このままじゃ、まずいぞってことで、分散させるべく一部の妖精さんを引き連れて、とある島へ行くんですが、この一部の妖精さんってのがちょっと鬱ってる連中なので、とても楽しかったりする。のんびりモードでネガティブ思考の可愛さにやられんばかり。
この状態の妖精さんは、いつものような超人的な創造力がなくて、どこか人間くさい物づくりを見せてくれるので、新鮮ですね。いつもこのくらいのレベルだったら、調停官は楽なんだろうけど、鬱られると衰退してっちゃうので、いつもは妖精さんをからかってる主人公も、何とか持ち上げようと必死になったりして、なかなか楽しいものでした。
ま、その持ち上げが行き過ぎて&自分も調子に乗りすぎて、というのはお約束ですよね。わかっていても楽しいものがあります。
しっかしまあ、どんなピンチに陥っても、なんだかんだいって切り抜けるあたり、主人公はタフですね。
そうそう。あとがきによると、来年なんらかの新展開があるそうです。本以外のメディアに展開したりするのかしら?
人類は衰退しました 4 (ガガガ文庫 た 1-5)
田中 ロミオ
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