「技術は技術でしかない。それ以上のことは他人から教われるものじゃない」
「意味がわからないよ」
「お前が腰にぶら下げているのは空き缶を飛ばすオモチャじゃない。人を殺すための道具だ」
「そんなのわかって……」
「お前、丸腰の人間が撃てるか?無防備な相手を背中から撃ち殺せるか?」
「不死者秘儀団」の手により、家族を失い復讐を誓ったアランが、かつて命を救ってくれた「屍人殺しのステラ」と再会したとき、人狼が町を襲撃してきて……という西部劇ファンタジー。
ライトノベルサイト杯で気になった作品だったので、手にとって見たんですが、すっげー面白かった!なんでもっと早く読まなかったんだろう。
力こそが西部の掟という関係は、非常に分かりやすく、それ故に若き保安官であるアランは、頼りなく見えてたんですけど、ステラと出会ってから、ちょっとずつ変わっていくところがいいですよね。
力不足が故に、熱意はあってもどこか及び腰だったアランが、街を、子供を守るために、幽鬼たちに立ち向かうことを決意したシーンは、熱くなるものがありました。この覚悟を描くために、このお話はあったんじゃないかしらと思ったり。
アランに銃を教えたステラは、金があれば動くというどこか冷酷な姿ばかり見せてましたけど、さりげなくアランのことをサポートしてくれたりするのは、なんだかんだ言って気に入ってるんじゃないかなあ。なかなかわかりにくかったりするのは、思わせぶりな態度の後には、必ずオチがくるからなんですけど。この小憎たらしさが好きだったりする。
ステラとの関係で、一番印象に残っているのは、月夜の晩に、踊るときには、決して差し出してくれなかった手を、戦いが終わった後に差し出してくれたところかな。尊敬する人に認められたときって、こういう思いになりそうです。
中盤から終盤にかけての戦いは、ハードなものでしたけど、ひとりの男が大きく成長していく姿を感じることができて、ほんと面白かった。人側にいる淫魔のサンディが、はじめはからかうように、だんだんと本気(?)らしくなっていく気持ちが、とてもよくわかりますね。
ラストがまたステキだったなあ。
此よりは荒野。それが伝わってくるラストがいいです。これはぜひとも続編をお願いしたい!
此よりは荒野 (ガガガ文庫)
水無神 知宏
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