「このエリダナの街で最初に真相に気づいた人間は、ジヴーニャ、あなただ。実に賢いね」
ジヴーニャは恐怖した。
「しかし、賢さはいいが、世の法則を知らないのはいただけない。だから私が親切に教えてあげましょう」
リクルゴ・ゴはさらに顔を近づける。
「賢すぎると、人は死ぬのよ?」
竜や巨人や禍つ式などの<異貌のものども>を相手取ることで糊口を凌ぐ攻性咒式士、美貌の腹黒戦闘馬鹿のギギナと、不運と貧乏くじを引くガユスが、エリダナ町での事件を解決していくシリーズの第四弾。指輪をめぐる争いから、戦場と化したエリダナで、敵味方入り乱れて戦いが繰り広げられるお話です。
すごい。これはすごい!
三巻が上巻、この四巻が下巻的扱いなんですが、四巻だけでも600ページを超える分厚さなのに、スピード感がまるで衰えず、それどころか、二転三転、さらに裏返って、みたいな展開の連続に引き込まれっぱなしでした。ほんっとに面白かったです。
それにしても、今回の黒幕はすごかった。ガユスたちがいいように操られていき、真実にたどり着いたと思ったら、まだ奥に隠れている。そんな何重もの罠が複雑に絡み合っていて。
<古き巨人>の強さは販促過ぎですし、人を人と思わぬ行動に壮絶なまでの残酷さがあってやられるばかりでしたが、死と隣り合わせの戦いを幾度となく繰り広げたガユスたちと、そして、以前も、次に会ったときも、敵になるであろう者たちと、背中合わせになって戦うシーンに痺れました。敵であり、その強さを知っているからこその背中を預けられる信頼感。いいですねぇ。
個人的に注目していたジヴとガユスの関係は、三巻があまりにも痛かったので構えまくったおかげで、ある程度耐えられましたけど、やはり心痛むものがありました。あの箱をジヴがもっと早く開けていたら……なんて、「もし」を考えてしまう僕がいました。ジヴの気持ちもわからないじゃないだけに、苦しかったです。それでも逃げず、男たちの助けとなったジヴが素敵でした。
いやあ、面白かった!分厚さなんてまるで感じさせない物語でした。戦いシーンの連続で引き込まれ、見えそうで見えてこない謎に魅了されて、ようやく終わったと思った後の真実にゾクゾクさせられる。モルディーンのキレ味には空恐ろしいものがありますが、それすらお遊びに見える感じる人もいるし……。いやはや、大変だ。
政治的立場で言えば、一番弱いところにいるであろうガユスたちは、今後どんな巻き込まれ方をするのかわかりませんが、ギギナとだったら乗り越えていってくれるでしょう。そう信じてます。ただなあ、ジヴとはなあ……。なんか不安だ。
されど罪人は竜と踊る 4 (ガガガ文庫 あ 2-4)
浅井 ラボ
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Comment:1
- ジャラル 2008-10-29 (水) 11:14
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暗黒ライトノベルという名称がピッタリの内容でした・・・。凄まじい戦闘の果てにガユスはあやふやな「勝利」以外には何も得られなかったというのは・・・まあこれで次巻への伏線は撒かれた訳です。
しかし<古き巨人>の王の残した言葉や今回の事件の背後にいた異形の王など完結への伏線も撒かれているみたいで・・・一応翼将もみとめる凄腕のガユスでも大丈夫なのかと心配ですね。まあギギナは喜ぶかも知れませんが。







