「後ろだ、霧のなかから来るっ!!」
それがどこの勢力のものであるか。問うまでもない。
― 万里眼。
白谷三座に附せられたその異名が雨俊の頭蓋を爆ぜた。
― はじめからこれが狙いであったか!
世界汚染後を生き延びた人たちが作り上げたコロニーのひとつ調布新町で、特進種と呼ばれる進化学的変化を遂げたユーキとタマとその仲間たちが、他のコロニーとの衝突を切り抜けていくお話の第四弾です。今回は、調布新町に束の間の平和が訪れる中、永遠の少女・美歌子率いる姫路コロニーと、一年を経ずして九州を落とした新興・日向軍が衝突するお話です。
いやあ、楽しかった。いまだ傷跡は残っているんだけど、争いが終わったことで調布新町側では殺伐とした空気が薄れて、束の間の平和をタマとユーキが満喫してる姿が印象的でした。ユーキが何かしらヘマをすると、ここぞとばかりにからかいまくるタマですが、傍から見たらじゃれあってるようにしか見えないですよねぇ。バカップルっぷりをたっぷり満喫。
ちなみに一番笑ったのは人生ゲームの場面です。
まあ、ユーキだけでなく、八王子コロニーの百武沙也加のバレバレなツンデレっぷりも大変楽しませていただきましたが、それはともかくとして、姫路コロニーと日向軍の争いも面白かったです。どちらにも軍師を立てており、自軍を有利に動かすべく、切り捨てるものは切り捨てて、利用できるものは利用する策士っぷりが、見ごたえありました。
何より見所なのが、美歌子のカリスマですね。天子候補生でありながら、美歌子を憎んでいたタケルとシュンが、彼女の戦いを始めて間近に見て、気づけば心を囚われていくところに、美歌子の魅力を感じます。これほど引き付けられるものがあったら、なるほど、姫路コロニーは強いわけだ。
ユーキと繋がりがあったタケルとシュンに心境の変化が生まれて、さてどうなっていくのかと思っていたんですが、タマにまで動きが出てくるとは思わなかった。守りたいと思った人がいるからこそなんだろうけれど、突然のことだから切ないなあ。なまじ自分の隊を手にしてしまったユーキは動けなくなるだろうし……。
あ、そういえば、一度ユーキが変な状態になったのがあったなあ。アレは何なんだろう。妹のリオにも謎がありますが、このあたりも動いてくるのかしら。続きが大いに楽しみですね。
レヴィアタンの恋人 4 (ガガガ文庫 い 2-5)
犬村 小六
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