右手の怪物が銃を抜く。しかし狙いをつける相手はここにいない。行き場を失った怪物を震わせてアレッシオは再び大声で吼えた。怒りと恐怖がないまぜになった、すさまじい感情の噴出だった。
死んだ、みんな殺されたのだ!
精巧な技術と錬金術によって生み出された人間と瓜二つの自動機械人形の発祥の地であるベルモントで、マフィアのファミリーへ入ることを望む男の元へ、美しき機械人形の兄妹が預けられてというシリーズの最終巻。
いきなりやってくれますねぇ。床に広がった血の臭いまで伝わってくる描写が、怒りと絶望を掻き立ててくれます。つい先日まで安らぎの場だったはずなのに……。怒りにまみれて、銃を撃ちまくるアレッシオの姿に、心痛むものがありました。
それでも狂わずにすんだのは、フォーラという存在が側にいてくれたから、ですよね。出会ったときからは想像もできないぐらいに、近しい距離を感じました。まさに運命だよなあ。
おとぎ話になぞらえて「わたしを呼ぶのはだあれ?」と問いかけてきたフォーラに、答えたアレッシオの言葉が胸に来る。
まるで映画のワンシーンを見せられているかのような、素敵なやり取りがとても印象に残りました。
いやあ、面白かった。
ちょっとアレッシオ強すぎるような……と思うところもありましたが(人狼相手なのに!?)、身内をやられたのであれば、きっちりと復讐をするというマフィアの美学を、不器用なまでに貫いた男の物語が良かったです。
決して一人ではなく、愛する人と二人で紡ぐからこその物語であるという、切なくも美しいラストにしんみり。ああ、いいものを読んだなあ。
月光のカルネヴァーレ 3
J さいろー
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