「そこで私たち歌劇学園放送部は考えまっした!」
チビッコ放送部員は黒板に平手を叩きつける。
「会澤拓海を苦しめたBSカゲキ関係者にどっきりを仕掛けて、その無様な姿を全国に晒しちゃえば、BSカゲキに不満を持っていた視聴者は大喜びするはずわっしょい!その名も『BSカゲキリベンジ』!これが今回のどっきり企画の骨子です」
町全体が歌劇のために存在する実験都市にある私立歌劇学園での出来事を描いたシリーズの第三弾。今回は「BSカゲキリベンジ」の合間に、学園随一のクールな男、生徒会副会長の加賀雅也が、かつて歌劇学園に所属していたという年上の幼馴染をひとりで捜していたら、いつの間にやら多くの人に知れ渡ってしまい、というお話です。
これはよかったなあ。ちょっと青臭いところもあるけれど、まっすぐな学園ものですよね。シリーズをここまで読んできた身としては、あのあたりでひっくり返すんだろうなあとか、いろいろ予想できちゃうんだけど、それでも楽しかったです。
何といっても良かったのは、雅也の思いが見えたことですね。今までクールなキャラで売ってたけど、実は結構熱い人だってことが見えてきて、すっごい好感度上がりました。親友のために動くところとかは、今までもあったけれど、内面が見えてくると、また違った一面が見えた感じがしますね。
そんな中、過去話がとてもよかったなあ。小学生の雅也と中学生の睦月の出会い。初めは無愛想な子供をあやすように接していたのに、いつしか夢を話すような間柄になって、雅也のほうも、だんだんと睦月を近所のお姉さん以上の意識をするようになっていくやり取りが、とても素敵でした。親の都合で別れることになってしまったとき、勿忘草を必死に探すところには、彼女の思いにグッとなりましたよ。
そんな出会いと別れがあったからこそ、今の雅也がいるんですね。なるほど、そりゃ、睦月を捜したいと思うようになるわけだ。
睦月探しと同時に、学園のほうでは「BSカゲキリベンジ」として、「BSカゲキ」で拓海をだました人たちをターゲットとした、ドッキリ企画が進んでいくんですが、これがまた予想外というか、予想内というか、危ない方向に進んでいくから面白いんだ。
意外なところから二つの話がつながってきて、そして最後に……。
切なくも、学園歌劇らしい、感動的なラストが、心にきました。
いやあ、面白かった。よく考えたら、表紙を飾ってる癒しの生徒会長って、あまり活躍してないような……とか思ったりしましたが、まあ、いつもの面子は活躍してたからいいか。
次は誰が中心となる物語になるのかわかりませんが、楽しみに待っていたいと思います。
学園カゲキ! 3
山川 進
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