武蔵野共同戦線が、白河コロニーと遭遇したのは、新宿だった。背水の陣とも思える布陣に訝しいものを感じたものの、いきなり四名の特進種が前に出てきたのであれば、こちらでも相応の対応をせねばならない。武蔵野の第一列の特進種として、ユーキと牛丸が前へ出たとき、戦いの火蓋は切って落とされた。特進種の中でも抜きん出た力を持つユーキの奮闘で、第一列は次第に敵を押していったが、そのとき既に相手の策にはまっていたのだ……
世界汚染後を生き延びた人たちが作り上げたコロニーのひとつ調布新町で、特進種と呼ばれる進化学的変化を遂げたユーキとタマ、その仲間たちが、他のコロニーとの衝突を切り抜けていくお話の第三弾です。今回は、前作で衝突寸前までいった白河コロニーとの戦いが描かれています。
特進種という存在は、たしかに圧倒的なんだけど、戦争はそれだけじゃ押し切れないってのがよくわかりますね。ユーキほどの強さをもってしても、策ひとつで追い詰められてしまうんですから。いや、この場合は、あそこまで追い詰められながら、生き延び続けていったユーキと牛丸のいる第一列を褒めるべきかな。
味方と分断され、気は底を突き、敵は倒しても倒しても際限なく現れて。もはや何も考えられなくなるほど斬り続けて、暑さと疲れから、伝わってくる喉の渇きに、こちらまで喉がカラカラになりました。
そこいら中で激戦が繰り広げられる中、一番印象深かったのは、派遣くのいちの静でしょうか。いやあ、いい曲者っぷりです。絡め手を使わせたら、かなり強いですよね。いったいどんな素性なのか気になるばかり。それより気になったのは、ジャージですが……いえ、なんでもありません。
強いといえば、姫様な百武沙也加の執事として仕える雨宮の強さが、すごかった。姫様に危機が迫ったとき限定とはいえ、あまりの誠実さというかオバカさに笑いが止まらない。しかも、ツンツンな沙也加がタマに……ってのは、面白くなりそうで、にやり。
一進一退の戦いを続けていく中、たった一つバランスが崩れることによって、一気に崩れていくシーンは、まるで目に見えるかのようでしたが、このきっかけを作り上げた岩佐木もさることながら、彼を引っ張りだした武蔵野共同戦線の指揮を取る啓十の好々爺っぷりに、油断できないものを感じました。力でではなく、人として上に立った人ほど強いのかもしれない。
いやあ、面白かった。はげしい戦闘があっただけに、生き延びた者たちのバカ騒ぎが、必要以上に愛らしく思えました。ああやって、生きてることを実感してるんだろうなあ。
ただ、今回の戦いで、タマのことがあちらに知られたのは、不安要素ですね。あちらには、カヲルを思うものがいるだけに、うまくいけば三角なり四角なりのラブコメな方面になるんだけど……ありえないか。むしろ、すれ違えば修羅場というか、悲哀な感じになりそうなだけに、ドキドキしながら続きを待ちたいと思います。
レヴィアタンの恋人 III
犬村小六
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