三年前の夏、海難事故に巻き込まれた右手に呪いを受けた僕は、ある日、仮面をつけた人たちに追われている少女を見かけた。空を飛んで逃げる少女を見たときには、夢かと思ったが、なんと彼女は霊体であるという。しかも、僕に依代になれとまで言ってきた。断ろうにも、いつの間にやら、僕まで追い掛け回されることになったので、しかたなしに承諾したが、力を彼女に奪われ、疲労は負わされてとひどい目に。このまま憑かれてたまるかと思った僕は、彼女の「体」を探す手伝いをすることにしたが……
誰かの感想を見て、読もうと思ったんだけど……誰だったかしら。
ともあれ、右手で掴んだものは、跡形もなく消えてしまうという「力」を持った高校生の啓介が、「高次存在」の力を借りて魔術を扱う<方舟>に住む一族の少女、アリッサと出会って……というところから始まるお話です。
わりとよくある設定を使いながらも、卒なく纏めてるという印象でしょうか。裏表紙には「マジカルコメディ」とか書かれてるけど、そんな要素はほとんどなくて(ひょっとしたら、ド・レ・ミはギャグだったんだろうか。だとすると寒すぎる)、むしろ、海難事故で妹の手を掴むことができなかったという過去の悔いが、随所に出てて、シリアスさが漂っていました。
ただ、それほど深くは入り込まないので、重すぎることはない……と思ったけど、別の場所で見える陰湿な出来事は、胸が悪くなりそうなぐらいげんなりで、さらに、それを見てみぬ振りをしようという啓介の心情にも、いやなものが残ります。
そんな啓介が、アリッサのまっすぐな心を目の当たりにするうちに、自分の中で勝手に作り上げていた恐怖を振り払い、前を向くようになっていく展開はよかったですね。ちょっと自分よがりなものを感じないわけじゃないですが、誰一人周りにいなかった友月からしたら、彼の手はまぶしく見えたと思います。戸惑う姿が、なんかカワイイですね。
魔術については、よくある設定のような、でもわかりにくいような。説明が足りないからかしら。まあ、そのあたりはおいといても、ここでそういうつながりが出てくるかという展開には、グッと引き込まれるものがありましたね。強引なひっくり返しの連続は、ちょっとなあと思いましたが、後半の勢いの良さは、それを吹き飛ばす勢いがありました。
痛みから逃げようとしていた少女が、失うことの怖さを知っていくところや、妹の手を離さないことを選んだ少年の姿をみると、少女や少年の成長物語でもあったんですね。このあたりの描写はよかったです。
また最後が素敵なんだ。あの場面で、あの返された言葉とあのイラストを見れただけで、読んでよかったと思いました。いろいろ物足りないかなと思うところもあったんだけど、きれいな終わり方に満足です。
これなら続編がいけそうだな。どうなるのかわかりませんが、個人的には期待して待っていたいと思います。
第1回ライトノベル大賞ガガガ文庫部門期待賞受賞作。
RIGHT×LIGHT―空っぽの手品師と半透明な飛行少女
ツカサ
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