冬休みに入り、ニコラウス女学院学生寮に残っているのは、私を含めて四人だけだった。同年代の女生徒たちの喧騒のない建物の中は、静かで過ごしやすかった。残っている人たちが、自分と同じ美術部の人たちという気安さもあるのかもしれない。
いつものように皆で戯れて過ごしていたある日、能天気に明るいせりかが熱で倒れ、看病をしていた私に彼女が告げた言葉は……
優柔不断で物事に流されやすい久我崎蝶子が、のんびりさんな部長、黒魔術から量子論まで何でもござれな頭脳を持つ三輪先輩、能天気に明るい同級生の門倉せりかと共に、過ごす冬休みの物語です。
初めの語り部分に、何となく、リリカルミステリーな雰囲気を感じて、それだけで満足してしまう自分がいる。こういう雰囲気大好き。
それにしても、閉ざされているわけではないのに、どこか閉じた空気を感じますね。先輩やせりかとの戯れるシーンが、とても愛らしく感じるのに、どこか頭の中を不安がよぎっていくので、なんとなく落ち着かない気持ちにさせられました。
静かに、何があるわけでもない日常の中で、どこか一本緊迫感を覚える展開は、非常によかったです。ただ、百合なシーンが多くなると、ところどころ雰囲気が壊れちゃう気もしないでもなかったけど。
そして見えた亀裂が、意外な展開を見せたところには、驚きました。いや、驚くというよりは、怖いと言ったほうがいいか。張り詰めていたものが、さらに張り詰めていくような。そんな怖さ。あの階段のイラストを見たとき、背筋がゾクっときましたよ。
一度崩れてしまえば、もう止まらなくて……、ここから見えてくる事実は、心が痛むものばかりだったなあ。それでも、後悔を胸に抱えていた少女が、新しい約束をすることができたところに、相手への思いを感じることができて良かったです。
なんとも幻想的で良かった。楽園のような温かさが、虚構という幻想に包まれていたところにクラクラきましたよ。ちょっと解説が長くなっちゃったのが、個人的にはうーんと思ったけど、それでも、ハマりそうな予感がヒシヒシ。 たしか、続編ではないけれど、二作目が出ているはずなので読んでみる予定。
第1回小学館ライトノベル大賞・期待賞受賞作。
みすてぃっく・あい
一柳 凪
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