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[佐藤大][夢野久作] 脳Rギュル ふかふかヘッドと少女ギゴク

発信源不明、意味不明の怪電波、演説だったり、音楽だったり、数字の羅列など、どこに向けてのものか解らない電波=脳R電波を受信できる者は、突発的に精神及び肉体を変異させてしまう。中央機密局のギヤマは、「脳R」を見分ける事のできる共振者シイと、治安を脅かす「脳R」を仕留めるために、動き出したが……

いやあ、面白かった。夢野久作は「ドグラ・マグラ」しか読んだことがないので、ああいう雰囲気を想像していたんですが、まさか、こんなはっちゃけた作品になるとは思いもしませんでしたよ。分厚さもなんのそのってぐらい一気読み。これはいいエンターテインメントですね。
脳R電波に脳髄侵された「脳R」な人を始末すべく、中央機密局のギヤマとパートナーである共振者シイが、脳Rとおぼしき人を追っていくお話です。

共振者しか「脳R」の見分けができないため、中央機密局以外の政府機関やら首相やらが懐疑的な「脳R」ですが、そんなことはお構い無しに、違法な事から暴力的なことまで何でもやって、脳Rを追いかけていくギヤマの狂犬っぷりには、新宿鮫みたいな刑事・探偵もの的な面白さがありますね。

ギヤマのパートナーたるシイがまた可愛くて。脳Rを見分ける共振者としてしか見てもらえないことは判っていても、必要とされたときには、何をおいても駆けつけてる恋する乙女っぷりが、たまりません。女子高生らしい学校内でのやり取りや、ギヤマを思って妄想するところも、ニヤつかせてくれて楽しい限り。

中央機密局の中でもいろいろ動きがあるんですが、トップのワカシゲとギヤマの良好とは言いがたい関係が、また魅力的なんだこれが。お互い相手を利用することしか考えていないにもかかわらず、相手の力量を信頼していることが伝わってくるんです。利用されていることを知りながら、自分が気づいていることを知られているであろうと思いながらも、動きまくるギヤマの姿が印象的だったなあ。

脳Rと思わしき相手の目論見を発見したギヤマが、「少女地獄」なところから相手にたどりついたと思ったら、シイは脳レコードの言葉とちょっとした導きから脳Rへとたどりつく。まるで別々の行動をしていたのに、必要としているときに出会えるんだから、偶然よりももっと別なものを感じますね。

最後はホッとさせられましたが、いろいろわからないところがあるので、ちょっと肩透かしな気持ちもありましたが、それ以上にギヤマとシイの関係が気になったなあ。事件の鍵を握った少女売春婦オトラの出現を見ると、シイがかわいそうだなーと思いますが、よくよく考えてみたら、ギヤマには、ホトリとも何らかの関係があるような気がするし、なかなか前途多難かもね。ギヤマももうちょっと構ってあげたらいいのにと思ってしまう僕はシイ派。

ひとまず、今回の脳Rについては終わりましたが、シイの友人もちょっとアレだし、ギヤマの脳Rに対する怒りの理由とかもまだ見えて無いし、謎の怪人赤マントのこともあるしと、いろいろ気になるところがあるので、ぜひとも続編をお願いしたいです。
次回「脳Rギュル ショートツ心臓とヤネ裏のタマゴ」なんて予告があるぐらいだから出るよね?出るよね?

脳Rギュル ふかふかヘッドと少女ギゴク  - 佐藤 大

脳Rギュル ふかふかヘッドと少女ギゴク
佐藤 大

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ちなみに原作となる作品は、夢野久作の「人間レコード」(青空文庫)(本だと夢野久作全集 10に収録の短編)と「少女地獄」だとか。これは手を出してみたくなりますね。

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