どうやらこの国は戦時中らしい。だが、拓真の周りでは特に変わったことがないので、そのことに気づくのは、テレビのニュースで戦況を告げられるときくらいだ。そんなことよりも、拓真としては、たまたま一緒に登校していた菜月のことで、噂立てられたことのほうが、よっぽど心配事だった。いったい俺は彼女をどう思っているんだろうと悩んでいたある日の夜中に、友人らしき人物が死体を抱えているのを見かけて……
これは面白い。戦時中だけど、戦争で死ぬ確率は、交通事故よりも低いというぐらい平和な町でのお話ですが、何といっても、はじめの学園ラブコメが楽しいです。
好きなのかどうか自分でも良くわからない菜月と噂が立ったせいで、今までよりも意識するようになって、いやいや、自意識過剰だと肯定と否定の間で揺れる拓真がいいですね。自分の心に素直になればいいのに、顔に似合わず小心者、というよりは、純情な様にニンマリ。
お互いを意識して、ふたりが初々しい反応を見せるところとか、クーとか言いたくなりますし、幼馴染の女の子もちょっと参戦を匂わせてきたりして、でも鈍くて気づかないところとか、王道ですが素敵でした。
でも、やっぱり戦争は起きてて。
ふとしたことから、友人らしき人物が血にまみれた女性を抱えているのを見かけて、というところから始まる影が、不安な気持ちを大いに煽ってくれます。何か感じるものがあるのに、きっと見間違いだろうと自分に嘘をつきたくなる気持ちはわかりますよね。
戦争に参加するもの。戦争に巻き込まれるもの。戦争から逃げるために友を狙うもの。戦争のために裏切るもの。辛く思えたのは、友を狙うものの心でしょうか。好きになってはいけない人とのやり取りに戸惑い、護るべき人を護れず、愛する人を護るため友を狙う決意には、やるせない思いでいっぱい。
なぜ……という言葉が、戦争に届かないのはわかってますが、それでも共に過ごしていた者たちに訪れる崩壊に、心が痛くなります。
最後がまた痛かったなあ。ここまできて、なお、心に刃が襲ってくるとは……。わかっていたけど、いや、わかっていただけに辛いです。個人的にはプロローグないほうが驚き度は上がったと思いますが、逆に危機感は上がったのかもしれません。
ところどころ物足りないところがないわけじゃないんだけれど、学園ラブコメっぷりと心が痛くなるような崩壊が、見事でした。こういうお話好きですね。「殺×愛」が好きな人なら、いけるかもしれないとか言ってみる。
ところで、タイトルに「1」とナンバリングされてるんですが、続編でるんですか?
と、あとがき読んだら出るみたいですね。どこのあたりを持ってきて続けるんだろう。設定等については、まだまだ不透明なところがあるので、続編を楽しみに待っていたいと思います。
第一回小学館ライトノベル大賞佳作受賞作。
Re:ALIVE 1―戦争のシカタ (1)
壱月 龍一
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