私の名刺には「一針入魂 お縫い子テルミー」と印刷してある。ミシンを使わず完全に手縫いだ。
水商売をするつもりでいたのだが、いつの間にか仕立て屋としてお金をもらえるようになったのは、シナイちゃんのおかげだ。彼がプロとして生まれてはじめての注文をくれたのだ。
そんな流しの仕立て屋をはじめて三ヶ月たったが……。
一行目から引きずり込まれる面白さにしてやられる。ユーモアに溢れ、リズムよく繋がる文章は特有のものでしょう。生まれたときから、流しの生活をしているおかげでどこか淡白な少女が、シナイちゃんと出会いから、少し変わっていくという展開。
恋かといわれれば、間違いなく恋でしょう。揺れ動く心をスパっと切りつけて動く潔さがとても眩しい。
それ以上に眩しく感じたのが、仕事に対する姿勢。まさに一針入魂にふさわしい真剣勝負といった感じ。
思わず背筋が伸びてしまうぐらい良かった。
できればもっと読みたかったなあ。ここで終わらせるにはあまりにも惜しいと思いました。
もうひとつの短編「ABARE・DAICO」も大好き。
小学生の男の子が体操着を失くしてしまったけれど、親に金銭で迷惑をかけたくないという思いから、夏休みの間、留守番のアルバイトをするというお話。
この歳のアルバイト何ていったら、大冒険のようなもので、不安とわくわくする気持ちの両方が入り混じる様子がとても伝わってきました。クラスメイトへの対抗心も見逃せないです。
いろんなことを経験して、大きく成長していく少年の姿に清々しさを覚え、アルバイトのことが発覚した後のお母さんの言葉に感動しました。
やっぱりこの人の作品は良いや。他の作品も文庫になる日が待ち遠しいです。
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栗田有起
Home > 文学・歴史・その他 > [栗田有起] お縫い子テルミー
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- 栗田有起 「お縫い子テルミー」 from ゼロから 2008-07-10 (木) 01:27
- 「お縫い子テルミー」と「ABARE・DAICO」の2編からなっているが、「ABARE・DAICO」の感想を。







