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[宮沢周] アンシーズ 刀侠戦姫血風録

「御託はいりません。さっさと始めましょう。生徒会五守が一人、イエミツ。カタナの銘は土竜槍!我が愛槍は地に紛れ、そして汝の血に塗れんことを由とする!」
「ははん名乗るかよ!いいぜ。いいぜ、ねーさん。熱いな!熱いよ!ああ、ヨロコ、濡れてきちゃうぅ。俺様はアンラッキーセブンのヨロコ!カタナに銘なんてねぇ!ただのヴァンパイアで十分だっ!俺様に出会えた幸運を呪えよ、小娘!」

「抜刀空間」において、男を抜くとソレはカタナになる。ソレが無くなったのなら、その間は女にだよね、ってことで、自らの男を武器へと変換し、身体能力も飛躍的となる「アンシー」たちの戦いに、転校生の木之崎トモが巻き込まれて……というお話

なんというおバカな設定なんだ!でも面白い。
学園内に限らず、「抜刀空間」なら戦闘が可能で、学内にある施設や教室を自分のエリアとする争いが繰り広げられるんですが、武器が武器だけに、折られてしまうと、その人は一生、女として過ごすことになるから恐ろしい。

ただ、設定は面白く、戦闘シーンも熱くていいんだけど、転校初日にアンシーの戦いに巻き込まれて、何の事情も知らないまま「抜刀」してしまい、挙げ句の果てに相手のカタナを折ってしまったトモの境遇を考えると……ね。

責任という言葉は重いけれど、その言葉がいいように使われていく様は心痛むものがあったし、何より何のためにアンシーたちは戦っているのかがなかなか見えないので、命を賭けることのリスクが釣り合わないなあとモヤモヤするものがありました

といいながら、振り回されるトモをみてニヤニヤしてたりするんだけど

トモに折られてしまったミツウが、復讐のために近づいてきたときには、どんな展開になるのかドキドキでしたけど、だんだんと彼女(女になりました)が、トモとの距離を縮めていく様には、もうニヤニヤ。
かつて男だったが故に、男のツボを刺激する女の武器の使い方とか楽しくて、たまに見せるトモへの思いに、さらにニヤリとさせられました

命を賭ける戦いの先に何があるかが明かされて、それでも戦うことに迷いっている最中に、都市伝説的強さを誇るアンシーが出てきて……と、ピンチの連続に襲われるんだけど、責任という言葉に逃避していたトモが、何かと彼を導いてくれたヒカルの姿を見て、覚悟を決める様が良かったです

ラブコメ模様は最後まで楽しかったし、いろいろな謎の答えを見せながら、でもミステリアスな感じは残しているところもいいですね。これは続編が出たら読んでみたいな

第8回スーパーダッシュ小説新人賞佳作受賞作。

アンシーズ―刀侠戦姫血風録 (集英社スーパーダッシュ文庫) - 宮沢 周

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