Home > ライトノベル > [しなな泰之] 魔法少女を忘れない

[しなな泰之] 魔法少女を忘れない

「違うんだ。魔法少女は — 恋ができない」
「何を言うか貴様!自分の妹をなんだと思って — 」
「できないんだよ、無理なんだ。生まれつき、そうなっているんだよ」

半年前から、みらいという少女は、悠也の義理の妹になった。かわいい妹だとは思うけど、どう扱えばいいのかいまいちわからない。元・魔法少女のみらいは、どこか感じ方が違うように思う。幼なじみの千花やクラスメイトの直樹の助けを借りながら、兄と妹の距離は少しずつ縮まっていき……温かくも切ない少年少女の物語。

突然妹ができたことで距離感をつかめず戸惑う悠也が、みらいを前に話を聞いてあげる様子が、とても微笑ましい。みらいは、年齢に比べるとやや幼く思えるけど、それでも笑顔がかわいく思えるのは、悠也の視線が優しいからなんだろうなあ。ちょっとずつ兄と妹になってく展開が良かったです。

何より素敵なのは、幼なじみの千花でしょう。悠也が目の前にいると、きつく当たりながら実は……という何とあからさまなツンデレか!と思いながら、ニヤニヤしてしまう僕がいる。基本的に悠也には甘いんだけど、けじめを付けるところはきっちりつけてるから、またいいんだ。彼女の恋は応援したくなるものがありました。

魔法少女とは何かというのは、匂わす程度しか出てこないんですが、それでも世間から離れた存在であることは、みらいの姉的存在であるわかばの頼みごとを聞いたら、伝わってくるものがありました。

魔法少女は恋ができない。

このことが、後の展開を生むとは思わなかった。いや、薄々は気づいていたけれど、でも……といったところかな。人なつこくかわいいみらいを好きだから、みなが気を使い、それが時にやるせない思いを生んでいくから、胸が痛くなります。

そんな中、決して甘やかさなかった千花は、ほんと素晴らしかったなあ。叱責は、別の感情もあったかもしれないけれど、一番は、友と思うからこそ、でしたよね。

魔法少女は恋ができない。そしてもうひとつ……というところから、兄である悠也が何とかしたいと思う気持ちが、やりきれなくなってくるんだけど、「好きな人」という存在をはっきりとわからせてくれた千花や友人たちのおかげで、辛さだけが残ることのない終わりを見せてくれたことが良かったです。

またあした、の一言に涙。

魔法少女を忘れない (集英社スーパーダッシュ文庫 し 4-2) - しなな 泰之

魔法少女を忘れない (集英社スーパーダッシュ文庫 し 4-2)
しなな 泰之

集英社(文庫)
Amazon | bk1


関連エントリー
[しなな泰之] [スーパーダッシュ文庫] [ライトノベル]

Home > ライトノベル > [しなな泰之] 魔法少女を忘れない

Trackback:1

TrackBack URL for this entry
http://www.booklines.net/mt/mt-tb-t.cgi/3155
Listed below are links to weblogs that reference
[しなな泰之] 魔法少女を忘れない from booklines.net
魔法少女を忘れない 読み終わりました from わたしは趣味を生きる。[ラノベ・音楽中心] 2009-07-01 (水) 11:55
半年前から出来た“妹”。彼女は元“魔法少女”だった。 これを題材にした典型的なピ

Comment:0

Comment Form
Remember personal info

Home > ライトノベル > [しなな泰之] 魔法少女を忘れない

Search
お気に入り

異形の王子と毒を吐く少女の恋の物語

4048700588

他人を寄せつけぬ毒を載せた言葉を吐いていた少女が、王子と伝承と出会ったことで、信じる思いを紡ぐようになる、その祈るような思いに涙しました。懐かしき人たちとの再会もまた素敵。→感想


それは血の繋がらない家族の物語。

4048700480

大きな山や谷があるようなお話しではないんだけれど、クセのある七人のきょうだいが共に暮らすその家には、じんわり温かい家庭がありました。それぞれ抱えているものはあるけれど、この家族ならきっと支え合いながら乗り越えてくれると信じてる→感想


それは「夢利き」が語る人の夢の物語。

夢の上(1) 翠輝晶・蒼輝晶 多崎礼

最高傑作級!辛くとも好きな人と共に歩める幸せ、あるいは人の夢に乗る幸せと切なさ。独立しながら、リンクする物語は、温かさに、人を想う気持ちに満ちあふれて、胸が熱くなる。人が人と出会うことの素晴らしさは、時に眩しくもあり、切なくもなるんだなと思いました。→感想


江戸時代。新たな暦を作る偉業を成し遂げた渋川春海の物語。

天地明察

最高傑作!碁打ちであり、算術家でもある男が、打ちのめされ挫折して挫折して挫折して、でも夢を忘れられず、立ち向かう姿に、どれほど興奮させられたか、泣かされたことか!さりげなく描かれる恋も素晴らしく、読み終わりたくないとこれほど思った作品はありません。 → 感想


左遷された北嶺で隠居生活を堪能しようとした史官ヤエトの前に、皇女が太守としてやってくるお話。

翼の帰る処 上 (1) (幻狼FANTASIA NOVELS S 1-1)翼の帰る処 下 (3) (幻狼FANTASIA NOVELS S 1-2)

中間管理職的苦労に悩まされるヤエトの姿がとても楽しいですが、それだけじゃなく、北嶺と帝国の歴史的秘密が見えてくる展開に興味を惹かれること請け合い!超オススメです!→上巻感想 / 下巻感想


普通の社会人であるこかげが、異世界の騒動に巻き込まれるお話。

wonder wonderful 上wonder wonderful 下

やさしさで涙する物語でした。あ、もう最高!王宮話やら恋愛要素やらも非常に楽しく、読み進めるにつれてゴロゴロ転がりまわりたくなること必至です!今年一番のオススメ!→感想 上/ 感想 下

なかのひと

Page Top