「さあ!! 逃げ惑えっ!! ヴェルンストの雑魚どもっ!! これがラゲーネンの……『鉄球王』エミリーの戦だっ!!」
第一王女にして、『鉄球姫』とまで呼ばれるようになったエミリーと、彼女を守るべく護衛騎士となったグレンが、王位を取り巻く陰謀に巻き込まれていくシリーズの第五弾。今回は、大兵力をもってラゲーネン王国へとやってきたヴィルヘルミーネとの決戦が描かれるシリーズ最終巻です。
これは素晴らしかった!
敵にはしっかりとした頭がいて、ラゲーネン王国には柱となる人がいなくて、さらに兵力差はありすぎるという絶対的に不利な状況の中、それでも引くわけにはいかないと、立ち向かうエミリーの熱さには、惹かれるばかり。この人の背中を守りたいと思うグレンの気持ちがとてもよくわかる。
覚悟を決め、不安を押し殺し、激しい檄を飛ばしながら、自分を貫き通したエミリーと、彼女の背中を守るうちに、いつしか「盾」として覚醒していくグレンの姿は、見てるだけでこみ上げてくるものがあったなあ。
死にに行くのではなく、生きて帰るために戦う。その姿が、素晴らしかったです。
また、脇役たちも格好いいんだ。
ついこの間まで、敵だったものが共に戦うことになり、あいつには負けられないと満身創痍でも倒れない姿とか、「もう一度だけ」という恋人たちの夜とか、そこいら中に、しびれたり悶えたりするシーンが満載で、本当に面白かった。
全編戦いまみれなだけあって、いつものお下品なやり取りは、だいぶ押さえられていましたが(それでも隙あらばやるところは逆にすごいと思った)、鉄球王として戦っぷりを見せつけたエミリーの格好良さにやられました。
これでシリーズ完結とは残念でなりませんが、楽しい物語をありがとうございました、と言いたいです。
あとがきによると、既に新シリーズの制作に取りかかっているとのこと。
楽しみにまっていたいと思います。
鉄球王エミリー―鉄球姫エミリー第5幕 (集英社スーパーダッシュ文庫 や 2-5)
八薙 玉造
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