「オンナゴコロをわかったうえで、勝負のことは考えないで楽しくカレーを作るのがいいと思うよ」
「楽しく?」
「うん。魁君は楽しそうだから。だからカレーもおいしいんだよ」
カレー好きが高じてカレー部の存在する夏風高校に進学しながらも大会には出ようとしない「幽霊部員」の魁が、先輩たちの目標である全国高校カレー選手権での優勝を願う部員たちの思いを背負って、同じく幽霊部員である幼馴染の大食い美少女・紅とコジマくん、姐御な部長・李里と共に、選手権優勝を目指すお話です。
読んでるとすっごいカレーが食べたくなる。料理を勝負事にするというのが苦手だけど、カレーを作るのが好きな魁は、毎度毎度カレーを作ってるんですが、これがまた美味しそうなんだ。一工夫されてる場合もあれば、レトルト使ってる場合もあるんだけど、そのどんなときでもご飯とカレーの匂いが感じられるような描写で、思わずごくりとしてしまいます。そんなこちらの気持ちを代弁してくれるかのように、幼馴染の美少女・紅が大食漢で豪快に食べてくれるので、こっちまで気持ちよくなってきたりする。
それはともかく、勝負にこだわらないといえば聞こえはいいけど、実は自分に対する自身の無さから一歩引いてて、そのことに気づいているからいろいろ迷っていたんだけど、勝負に勝つためにはどうすればよいかと悩んでるときに、引っ張りあげた姐御こと李里とのデートは、悶えそうになりました。美人でしっかりものだけど、男性との付き合い経験は豊富でない、にもかかわらず先輩として余裕を見せようとする部長に惚れそうになった。
ま、李里としては、魁と付き合うことが目的ではなく、彼の闘争心を焚きつけるためにいろいろ動いてたので、デートはデートで楽しみながら、幼馴染である紅の思いをうまく誘導して、魁の気持ちを引き出すあたり、さすが姐御と思った次第。
大会のシーンは、準備段階に比べればさらりとしてたけど、優勝争いをする高校の料理の出来からショックを受けたとき、やってきた妹の話がなんか良かったです。普通に考えたら、ものすごくバカらしいことなんだけど、あの妹が、という感じがあったからか、不思議と温かいものが浮かび上がってきました。
素人同然の集まりであった夏風高校のメンバーのちょっとした行動や発想がヒントとなって、意外性あるカレーを作り上げて……最後に見せてくれたハッピーエンドににっこりです。
激辛!夏風高校カレー部(いもうと付) (集英社スーパーダッシュ文庫 か 12-2)
神楽坂 淳
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