Home > ライトノベル > [淺沼広太] 天使の飼い方・しつけ方 5 純情と友情のあいだに

[淺沼広太] 天使の飼い方・しつけ方 5 純情と友情のあいだに

「それはそれとして、イデルちゃんがこうしてウェイクアップしたってことは、何かビッグな発表があるんじゃないかな?」
アークに促されてうなずくと、セラから離れてイデルはソファーにちょこんと座る。
「……イデルね……魔界に帰るね」
「帰るって……でも魔界には……」

ひかるにかけられた呪いを解くために、癒し天使のセラが空回りしながらも奔放するラブコメシリーズの第五弾。徐々に弱っていくイデルを少しでも楽にするために、皆で魔界へと向かうお話から始まる最終巻ですが……ああ、切ない。今まで、皆の笑顔ばかりが印象に残るシリーズだっただけに、この最後は切なかった。

でも、はじめはいつもどおりで。イデルの状態が悪いなら、何とかしようじゃないかと、みなで協力し合うところとか、イデルの笑顔を守るために、ひかるやセラが、ベッタベタな学園コメディを繰り広げていくところは、ほんと微笑ましくてよかったです。今まで散々あやしい動きを見せてたイデルの母ベルフェラジィが、良きお母さんっぷりを見せてくれて、ひょっとしたら……と思える雰囲気が素敵です。

ただ、時折見えるイデルの寂しさにはやられたなあ。自分のために、魔界にまで来てくれたセラやひかるの姿をありがたく思いながらも、でも、あちらにいた人間の友人・千景や飼っていた犬・しばなど、今までのような空間を再現してくれるからこそ、物足りないものも見えてしまうところが切なかった。自分でも贅沢と思いながら、抑えられない気持ちとか、しくしくきちゃう。

そして、やっぱり、いいお母さんのままでいるわけがないベルフェラジィの企みが見えてきて、ひょんなことから真実を知った悪魔のカルマが、葛藤しながらも天使と協力していく様とか、やっぱり手を取り合えるんじゃんというところが、とても良かった。

でも、みんなはイデルのためにイデルはみんなのためにというところから、すれ違いが見えて、ベルフェラジィの別の思いが見えて……それぞれが下した決断が切なかった。
個人的には、もうちょっとこのあたりを書いてほしかったなあと思ったけど、じんわりさせてくれる最後と、ちょっとだけ見えた未来の出来事が良かったです。

あー、面白かった。最後まで楽しませてもらいました。次のシリーズも楽しみですね。

天使の飼い方・しつけ方純情と友情のあいだに (集英社スーパーダッシュ文庫 あ 3-20) - 淺沼 広太

天使の飼い方・しつけ方純情と友情のあいだに (集英社スーパーダッシュ文庫 あ 3-20)
淺沼 広太

集英社(文庫)
Amazon | bk1


関連エントリー
[淺沼広太] [天使の飼い方・しつけ方の感想一覧] [スーパーダッシュ文庫] [ライトノベル]

Home > ライトノベル > [淺沼広太] 天使の飼い方・しつけ方 5 純情と友情のあいだに

Trackback:0

TrackBack URL for this entry
http://www.booklines.net/mt/mt-tb-t.cgi/2562
Listed below are links to weblogs that reference
[淺沼広太] 天使の飼い方・しつけ方 5 純情と友情のあいだに from booklines.net

Comment:0

Comment Form
Remember personal info

Home > ライトノベル > [淺沼広太] 天使の飼い方・しつけ方 5 純情と友情のあいだに

Search
お気に入り

異形の王子と毒を吐く少女の恋の物語

4048700588

他人を寄せつけぬ毒を載せた言葉を吐いていた少女が、王子と伝承と出会ったことで、信じる思いを紡ぐようになる、その祈るような思いに涙しました。懐かしき人たちとの再会もまた素敵。→感想


それは血の繋がらない家族の物語。

4048700480

大きな山や谷があるようなお話しではないんだけれど、クセのある七人のきょうだいが共に暮らすその家には、じんわり温かい家庭がありました。それぞれ抱えているものはあるけれど、この家族ならきっと支え合いながら乗り越えてくれると信じてる→感想


それは「夢利き」が語る人の夢の物語。

夢の上(1) 翠輝晶・蒼輝晶 多崎礼

最高傑作級!辛くとも好きな人と共に歩める幸せ、あるいは人の夢に乗る幸せと切なさ。独立しながら、リンクする物語は、温かさに、人を想う気持ちに満ちあふれて、胸が熱くなる。人が人と出会うことの素晴らしさは、時に眩しくもあり、切なくもなるんだなと思いました。→感想


江戸時代。新たな暦を作る偉業を成し遂げた渋川春海の物語。

天地明察

最高傑作!碁打ちであり、算術家でもある男が、打ちのめされ挫折して挫折して挫折して、でも夢を忘れられず、立ち向かう姿に、どれほど興奮させられたか、泣かされたことか!さりげなく描かれる恋も素晴らしく、読み終わりたくないとこれほど思った作品はありません。 → 感想


左遷された北嶺で隠居生活を堪能しようとした史官ヤエトの前に、皇女が太守としてやってくるお話。

翼の帰る処 上 (1) (幻狼FANTASIA NOVELS S 1-1)翼の帰る処 下 (3) (幻狼FANTASIA NOVELS S 1-2)

中間管理職的苦労に悩まされるヤエトの姿がとても楽しいですが、それだけじゃなく、北嶺と帝国の歴史的秘密が見えてくる展開に興味を惹かれること請け合い!超オススメです!→上巻感想 / 下巻感想


普通の社会人であるこかげが、異世界の騒動に巻き込まれるお話。

wonder wonderful 上wonder wonderful 下

やさしさで涙する物語でした。あ、もう最高!王宮話やら恋愛要素やらも非常に楽しく、読み進めるにつれてゴロゴロ転がりまわりたくなること必至です!今年一番のオススメ!→感想 上/ 感想 下

なかのひと

Page Top