「本題は……魔女に会いに来たんだ。昨日の夜、全部話すって約束して……」
「何の話?」
「東区全二つ名所有者による西区制圧計画。発案及び主導は……あの帝王」
初っ端からやってくれますね。豚に成り下がりそうになった狼が歯を食いしばる姿に、腹の底から熱いものを感じました。半額弁当を狙うという意味では敵なのに、とてつもない仲間意識が見えるのは、やはり狼としてのプライドが見えるからなんだろうなあ。
というわけで、閉店時間間際のスーパーで繰り広げられる熱き戦い、半額弁当争奪戦を描くシリーズの第二弾。今回は、HP(ハーフフライサー)同好会で活動を続けている佐藤洋の前に、たった数ヶ月で二つ名「湖の麗人」を得た従姉・著莪あやめがやってきて、というお話。
なかなか弁当争奪戦で成果を出せない佐藤ですが、それでも戦いの度に成長を見せてくれてます。特に今回はピアスといい勝負をしてて、拳で語り合ったものだからこそ分かり合えるライバル関係が、あまりに素敵過ぎてどうしてくれようかと思いました。 それにしても、スーパーの売れ残りのお弁当を、こんなに美味しそうに描写してくれる小説ってないですよね。
一方、佐藤の従姉もまた狼として活動していたわけですが、これがまた格好いい。かなわないとわかっていながら「氷結の魔女」に挑む姿にしびれました。この誇り高さと、悔しさをバネに挑む心を忘れないところは、成り立てとはいえ、立派な狼ですよね。
まあ普段は、オヤジっぽいというか、佐藤といるときは兄弟なノリで、それでいて、女の武器を使ってくるので、じゃれあってる様子には、笑いが絶えませんでしたね。ただ、今まで近くにいた従弟の存在を、ちょっと遠くに感じたことで、意地悪したら、それが大きな問題になってしまったわけですが。
東区内最強と謡われた「帝王」が、西区へと手を伸ばし始める陰謀劇には、見事ミスリードされましたけど、帝王の名を巡る過去の物語には、やるせないものがあったなあ。思いというか美学を感じるだけに、後悔ばかりが伝わってきて、でも、それを止めることができるのは……。
狼にとって、名がどれほど大切であるかということを、魔導士に見せてもらった気がします。
いやあ、熱かった、面白かった!
狼のみならず、半額神の誇りの素晴らしさと、強大な敵へと立ち向かう狼たちの姿、そしてライバルだからこその拳の痛みなど、最後の戦いは、どこをとっても燃えるものがありました。全力を出し切ったからこそ、手に入れた弁当も格別の味になるんだろうなあと思う次第です。
これで、またひとつ成長したかに思える佐藤ですが、さて、次はどんな戦いが待ち受けているんでしょうね。とても楽しみです。
ベン・トー 2 (2)
アサウラ
P.S.
個人的には、伝説といわれる女帝VS魔導士の戦いが見たかった……。短編でもいいから、いつか見せてほしいな。
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