「ええと、理解していない人多いみたいねぇ。じゃあ、もう一度、言うわよう。本日を持って、パントーラ図書館は閉館します。皆さんの仕事は今日でおしまいです。長らくのお勤め、本当にお疲れ様でした」
呆然と口を開けている、武装司書たちの顔が伝わってくる。それがおかしくて、ハミュッツは電声機から顔を離し、口元を押さえた。
「念のため、もう一度、言いましょう。
パントーラ図書館は、武装司書は、今日で終わりです」
死者の全てが詰まった「本」を管理するパントーラ図書館。その貴重な「本」を守る武装司書たちの戦いを描いたシリーズの第八弾。今回は、「天国」の真実が明かされ、パントーラ図書館の歴史が終わろうとするお話です。
いやあ、すごい!まさか、こんな展開が待ち受けてるとは思ってもいませんでした。前作のような駆け引き満載な物語もいいけれど、今回のような激動の戦いを描きながら、それぞれの人物を掘り起こしていく展開は、やはりこのシリーズの魅力ですよね。
「パンドーラ図書館の歴史が終わる」なんて始まりだったから、図書館の中心部にある封印迷宮の様子がいつもと違うだけで、ドキドキだったんですけど、気づけば、あの武装司書たちが大ピンチの連続で、次第に追い詰められていくんですから、もう引きずり込まれまくり。ページをめくる手が止まりません。
っていうか、同じ図書館内にいるのに、ハミュッツは何してんだと思いましたが……、こんな真実が待ち受けているとは思わなかった。武装司書たちからしたら、今まで、自分のやってきたことの根底を覆されるような真実なだけに、どうなることかと思ったんですけど、やっぱり武装司書はすごい。
彼らの誇りの高さに、思いの強さに、ジーンとさせられるばかりです。
とまあ、怒涛の戦いもさることながら、マットアラストとハミュッツの過去も面白かったです。天才だったがゆえに、刹那的だったマットアラストと、ひとつの目的のために生まれてきたハミュッツと。惹かれあったのも、わかる気がしますが、今まである意味一番の謎であったハミュッツの過去が見れたのは良かった。
「天国」を滅ぼす唯一の可能性だった「菫の咎人」との関係には、一抹の寂しさが見えて、ああ、彼女もなんだかんだ言って悪人になりきれてないんだなあと、そこが彼女の優しさであり、甘いところなんだと思いました。兎の秘密が、なんとも印象に残ります。
いやあ、面白かった。
もはや希望どころか、絶望すら失われてるような展開と強烈な引きで、いったいどうなるの!?と叫びたくなるものがありますが、これからどうなっていくのか。続きが、とてもとても楽しみです。待ち遠しいです。
戦う司書と終章の獣
山形 石雄
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