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[七月隆文] ラブ★ゆう 5

「私は……現実の人間ではなかったのだな……」― どうしていきなり、そんなことを言い出したのか分からない。だが、ついに気づかれてしまった。彼女が自覚したら世界が崩壊してしまう!と焦った俊は、何とかごまかそうとしたが……思い直した。ここでロザリーにうそをつくのは、正しくないと。そして、本当のことを伝えようと、ロザリーと向き合ったら、突然彼女は、外へ飛び出して行き……

レベル99だけど、かしこさは40しかないという、大人気RPG「ドラゴンブレス」の姫勇者ロザリーが、現実世界へ現れて、高校生の少年、俊の花嫁になろうとするラブコメ物語の第五弾。今回は、以下の五編からなる短編集です。

  • 自分の正体を知ってしまったロザリーが失意の上、逃走してしまう「ロザリーの決意!
  • ぷにっとしたお腹に悩んだロザリーとみことたちがダイエットを始める「ロザリーのダイエット大作戦!
  • 幼いころの俊との思い出を語るみことメインの「逆襲のお姉ちゃん!
  • 文化祭準備のお手伝いをするうちに、碧空とふたりっきりに?な「ロザリーとナギサとゲーム部の面々と文化祭前日の賑わいと炎と星と碧空と俊!
  • 碧空と別の立場にいる朧の過去が描かれる「とある双子姉妹の過去

本編としての話も進んでいるので、短編集といいながら、いつもとあまり変わりないような……。

ともあれ、どれもこれも面白かったですが、一番「こいつら馬鹿だ!」と思ったのがダイエット話。いやまあ、女の子に限らずですね、ダイエットが大変だってのはわかるんですが、ロザリー、みこと、渚、さらには撫子までも、ダイエットのお約束にハマって、悪いほう悪いほうへと進んでいくところが笑えます。巻き添えを食う俊も大変だ。

果ては、極度の空腹&脱水症状から幻覚が見えるようになってきたロザリーが、みことのシュークリームに食らいつくシーンは、どこの美少女文庫かと思いましたよ。イラストがやばすぎて、でもGJ!とか思ってないよ、ぜんぜん思ってないよ!

そんなみことがメインとなるのが「逆襲のお姉ちゃん!」。クラスメイトどころか、先生にまでお姉ちゃんと呼ばれるほど、お姉ちゃんが板についてるってどんだけ!?と思うんだけど、これがまた似合ってるからしょうがない。不良さえも手なづけてしまう手腕にニヤリ。

でも、そんな彼女も俊ちゃんが変わってきたのは、自分の力じゃないってことに気づいてて、いろいろ悩んで、ちょっと暴走したりもしちゃうんだけど、かつてのミコ姉のおかげで今の自分になれたという俊の言葉から、自分の立ち位置を思い出していくところが良かったです。そうだよね、今はロザリーたちに一歩及ばないかもしれないけれど、俊の過去を知っているという意味では、決して負けてませんよね。頑張れ、お姉ちゃん!

個人的に一番いいお話だと思ったのは、ロザリーがこの世界と自分の正体に気づいてしまった「ロザリーの決意!」です。まやかしと本物が逆転するのだから、ショックを受けないはずがない。それでも、今までの生活がなかったわけじゃない。ならば、やることはひとつ……と、彼女の決意が見えたときには、思わず涙ぐんでしまいました。 短い話だけど、心が熱くなるようなまっすぐな思いが、素晴らしかったです。ああ、もういいなあ!

無駄に長いタイトル話で、文化祭の準備の模様と、生徒会長である碧空のちょっと意外な姿が見えて、ああ、彼女はやはりこちらとは違う世界の人なんだなと。そう実感させられつつも、今ある世界を好きでいてくれていることが見えるところが良くて、反対に今ある世界をどうにかしようとする「無窮の財産享受者」のひとり、朧の過去が見える「とある双子姉妹の過去」は、やるせないものが残りました。

どうやら、次作で描かれる文化祭本番で、朧たちは何かを仕掛けてきそうですね。はたして何をやらかしてくれるのか、気になります。まあ、個人的には、今回あまり出番のなかった撫子が、おそらくは俊の気を引くために、何かを準備してるっぽい出来事のほうが気になりますけど。
派手にツンデレなことやってくれると嬉しいな。

ラブ★ゆう 5 (5) - 七月 隆文

ラブ★ゆう 5 (5)
七月 隆文

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