父親の護衛騎士になりたい。そう思い精進していた若き騎士グレンは、鉄球姫エミリーを護衛するよう、兄から任務を託された。先日襲撃事件を受けて修道院へと入ったエミリーだが、いまだ彼女を廃しようと考えるものがいないでもないらしい。幼いころから話を聞いて憧れていた姫の護衛ができると、喜び勇んで修道院へと向かったグレンだが、待ち受けていたのは、美しくも下品なお姫様で……
人間の力を爆発的に高める「大甲冑」を使用して、鉄球姫とまで呼ばれるようになった第一王女であるエミリーに対して、彼女を好ましく思わぬものたちが、陰謀を張り巡らすシリーズの第二弾。今回は、襲撃事件を受けて修道女となったエミリーの下に、若き護衛騎士グレンが派遣されて、というお話。
姫という言葉から、守らなければと思うグレンは間違ってないような気がしないでもないけど、よくよく考えてみれば、鉄球姫と呼ばれてる時点で、守られるようなか弱さとは違うような。気づこうよ、グレン。
期待に胸を膨らませてお目通りしたら、修道女になったというのに、下ネタの連続&セクハラっぷりが相変わらずなエミリーなので、あまりのギャップに、愕然とするグレンに思わず吹いてしまいました。
エミリーのみならず、ヘーゼルなる修道女もまた変人で、食事係をしている友人のロッティの可愛さをアピールしまくって、お坊ちゃまであるグレンに手を出させようとするところとか、素敵過ぎてどうしようかと思いました。
このシリーズは、明るい人たちが全員変態でいいですね。
それはともかく、何としても護衛騎士として認めてもらわねばと張り切るグレンに対して、エミリーが反発するのは、かつての仲間を失った経緯を考えると当然だと思いますが、それでも手を振り払いきれなかったところが、彼女の甘さなんだよなあ。
言葉が少なく、態度が態度なだけに、誤解されることが多く、それがわかっていても、生き様を変えることができないところに、不器用さを感じますが、「姫」としての立場を誰よりも重くみて戦い抜こうとする彼女の姿は、美しくもあり、痛ましくもありました。
前作がああいう形だったこともあって、わりと構えて読んでしまったので(ああ、なんて不健全な!)、衝撃という点ではそれほどでもなかったんですが、騎士と姫が、それぞれ悩みながらも、自分の目的のためにひたすらに戦い抜く姿にが熱かった。
失ったものの大きさから、心安らぐことがなく、刺々しさばかり目に付いていたエミリーが、セリーナだけでなく、グレンに対しても無防備な姿を見せたところに、見せることができたことに、グッとくるものがありました。
さてさて、こうなると今後はどうなるんだろう。ノーフォーク家内で、例の三人の分裂とかはあっても面白いかもなんて思ったりしなくもない。個人的には陰謀劇になってくれると嬉しいんだけど、鉄球姫がいるかぎり、それはちょっと難しいかな。
修道女エミリー―鉄球姫エミリー第二幕
八薙 玉造
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