以前と同じ状況に戻っただけなのだから、一人でいるのがさびしいはずがない。そう思いながらも、つい誰かを探してしまうカケルは、ふと疑問に思った。オレはメロンにとって何なのだろう?悩むカケルと同じく、メロンも悩んでいた。いったい自分はどうしたいのかと。
二人のすれ違いが続く中、アキカンオーナー同士の戦いが刻一刻と迫っていき……
缶に口をつけると(キスすると)美少女に、ピアスをひっぱると缶に戻るという「アキカン」のメロンと、ちょっと変態なカケルが繰り広げるドタバタラブコメの第四弾。今回はアキカン・エレクトに対する意見のすれ違いから、メロンがカケルの前から姿を消して……というお話。
以前の自分に戻っただけと思いながらも、喪失感に苛まれるカケルの姿と、許せないと思いながらエールの力を借りて、カケルを見守るメロンの姿に、似たもの同士なものを感じますね。相手を思っての行動といいながら、実は相手を信頼していないのではないかということに、気づいていく展開が良かったです。ま、そうはいっても、なかなか素直になれないふたりなんですけどね。
っていうか、カケルのためにあそこまで頑張るなら、さっさと戻ろうよメロンと思った。それ以上に気づけよカケルと思った。
個人的に良かったなあと思ったのは、メロンとエールの友情が見えたところですね。メロンの逃避を手伝う羽目になったことを迷惑そうに思いながら、メロンとカケルの架け橋となっていく内に、自分となじみを重ねて、アドバイスするエールの姿と、そんなエールを手本としてカケルとの距離を縮めようとするメロンの姿がとてもよかった。どちらも素直に好意を現さないけど、この距離感は親友のそれと思ってもいいよなあと、微笑ましくなりました。
恋敵であるはずのなじみも、メロンのためを思って動いたりして、仲間な雰囲気が素敵です。
それにしても、学園祭に乗じて始まったオーナー同士の戦いは熱かった。
大切な人が戦っているからこその応援と、大切な人の応援に応えるものと。
自分の弱さをこれでもかと突きつけられる戦いで、心が折れそうになったとき、仲間と大切な人の存在が、どれほど力となってくれるかが伝わってきました。
いがみ合っていたものたちが、拳で語り合ううちに……というのは、お約束かもしれませんが、じんわりと来るものがありましたね。あの盛り上がりはすごかったです。
カケルやメロンのみならず、戦うことになったケンスケと舞の間にもドラマがありましたが、最後にあったかい気持ちになれるものがあって……、こういう関係っていいなあと思いました。
いやあ、面白かった。
悲観的なものしか見えなかったアキカン・エレクト問題についても、カケルらしい解決策に思わずにやり。これからも悩むことがあるだろうけれど、メロンがいて、なじみがいてエールがいて。仲間が力を合わせれば、きっと何とかなるとそう思わせてくれるものがありますね。
次作では、新キャラも登場するとのことなので、どんな展開が待ち受けているのか楽しみです。
アキカン! (4缶めっ) (集英社スーパーダッシュ文庫 (ら1-5))
藍上 陸
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