体育祭が近づき、ロングホームルームで、誰がどの競技に出場するかを決めていた。いつものようにバカを言って、いつものようにツッコまれてと、わいわい楽しくやってるときに、ふと、カケルの頭に思い浮かんだのは、昔、なじみが誘拐されそうになった時のシーンだった。あんなことは起こさせない。そんなカケルの決意も空しく、アキカン・エレクトを挑んでくる輩が!
傷つける事を躊躇しない拳介とアキカンの舞は、カケルたちのみならず、他の生徒にも目を向けて……
缶に口をつけると(キスすると)美少女に、ピアスをひっぱると缶に戻るという「アキカン」のメロンと、ちょっと変態なカケルが繰り広げるドタバタラブコメ……だったのが、段々とシリアスなお話になってきましたね。平和な毎日を過ごしていたカケルたちの前に、強さと残酷さを兼ね揃えた敵が現れて、というお話です。
体育祭で誰がどんな競技に出るかを決めるホームルームや、その後の野球話が楽しいだけに、カケルが時折思い出す過去話は、きついものがありますね。小学生の頃に、あれほどの心の傷を負ったらと思うと、ゾッとします。必要以上に、ハイテンションなのは、そのほうが楽しいからという事もあるでしょうけれど、不安を寄せ付けないための防御でもあったんでしょうね。未だにうなされるところに、心に負った傷の深さを感じます。
そんなカケルを心配するメロンが、いろいろ頑張ろうとする姿はいいなあ。常識を知らないところがあるので、うまくいかないんですが、カケルのためにという思いが伝わってきます。それなのにカケルってば、もう。察してあげてよと言いたくなりますが、素直に言葉で伝えるということができないツンデレさんは、こういうとき不利ですね。
そんな中、アキカン・エレクトを仕掛けてくる輩が現れてきたんですが、カケルが立ち向かうことよりも、逃げ延びることを選択してしまうのは、過去のことがあったからでしょう。 大切な人を守りたい。いや、傷つけたくないかな。そういう思いが強くなりすぎて、メロンとの間にチグハグなものが生まれていくところは、気になる存在であることが伝わってくるだけに、やるせない気持ちでいっぱい。
一方のエレクトを仕掛けてきた拳介についても、始めは単なる不良かと思いきや、重いドラマがあったりするから、きついですね。ここまで来ると戦わない道を選ぶことは難しいと思いますが、舞について目を向けてないところがあるようなので、そこいら辺で突破口が見えるといいんだけど、うーん。
今まで存在感の薄かったジゴローが、かっこよさを見せ付けてくれましたが、対立する相手に対してまとまって立ち向かう寸前に、まさかと思いながら、やっぱりとも思える出来事が起きたところで終わって、あぁ!
いや、読んでる途中で、今回は一冊に収まらないだろうなとは思っていましたが、あのとき、あの場面で動けなくなってしまったカケルの心情が強烈で……
下巻となる次作でどのような展開が待ち受けているのか、気になるばかりです。
アキカン! 3缶めっ (3)
藍上 陸
追記: 2007/10/27 サイン会に行ってきました。
HNでのサインを快く受けてくださった鈴平さん、藍上さん、ありがとうございます!
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