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[山形石雄] 戦う司書と虚言者の宴

かつてバントーラ図書館と世界の人々を襲った、二日間の地獄から一年。そこかしこに傷跡は残りながらも、街は復興してきた。そして、年に一度の武装司書のパーティを無事に迎える事ができた。失った仲間や、絶対の使命を過ごした一年を振り返り、バカ騒ぎする日。そこには、武装司書以外の招待客もいた。かつて、武装司書と神溺教団の絶対の秘密を知ったことで、ハミュッツに狙われながらも逃げ延びたオリビアの姿が……

武装司書たちが参加する無礼講なパーティ(つまりは忘年会)で、例の秘密を知るマットアラストたちが、武装司書VS世界中の人々の日からの一年間を振り返るというお話。

素晴らしい。はじめから終わりまで、途切れない緊迫感にやられました。例の秘密を知らない者たちを利用して、自分たちの都合のいいように、それぞれが駆け引きしていく展開は、まさに虚言者の宴ですね。騙しあい、探りあいが面白いことこの上ない。

あのときの戦いによって、神溺教団に疑問を持ち始めた武装司書たちを、別の方向に導いていこうとするマッドアラスト奮闘には、綱渡りのようなぎりぎりさがあってドキドキさせらたり、必死の逃亡劇を繰り広げていたオリビアが、のん気にも武装司書のパーティに参加しているのはなぜだろう?と疑問を持たされたりと、物語に引き込まれっぱなしでした。

仲間のことを思いながらも、利用できるものは利用しようとするあたり、秘密を知る武装司書たちの冷酷さや折れないタフさが伝わってきましたが、何と言っても面白かったのは、力を持たないオリビアの戦いですね。戦いといっても武力ではなく、同情を引き、利用できる仲間を手に入れて、幾人かの人たちがちょっとした手伝いをしたら、それが、秘密を守るものたちに襲い掛かっていくという、力なきものだからこその知力による戦いに痺れました。

特にノロティに憧れて武装司書を目指した見習ヤンクゥを利用していくところから始まるサスペンスには、手に汗握りっぱなしです。気づけば、たかが見習いごときに、最強レベルの人たちが追い詰められていくんですからね。

重要なことを仲間に告げようとしないハミュッツのおかげでもありましたが、オリビアの動きに気づいていたハミュッツですら、最後の一歩に届かないところんですから、運の要素もあったけれど、それすら計算していたのではないかと思わされるぐらい、先の先の先を読んで、静かに行動する様には、賞賛の言葉しか出てきませんでしたよ。

いやあ、面白かった。またもやオリビアに負けたハミュッツでしたが、託された男と物語の主人公が動き出すところでは、本気で動いてくるんじゃないでしょうか。どうなるのかまるで予想がつきませんが、それだけにどんな展開が待ち受けているのか楽しみで楽しみでしかたないです。

戦う司書と虚言者の宴  - 山形 石雄

戦う司書と虚言者の宴
山形 石雄

集英社(文庫)
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P.S. まるっきり関係ないけど、物語中に自分の誕生日と同じ日付が出てきてて、嬉しかったりする。

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