カケルがメロンソーダの缶に口をつけたら、美少女とキスしていた。なんと彼女は、メロンソーダの缶の精霊だというのだ。人間に缶のことをもっと大切に扱ってもらうことを目的としていて、いつの間にやら共に住む事になってしまった。何かとわがまま言い放題のメロンに、呆れながらも相手をしていたが、経済産業省のお役人が「アキカン」に目をつけて……
mizunotoriさんとトンボさんの感想を読んで手に取りました。メロンソーダの缶に口をつけると(キスすると)美少女に、ピアスをひっぱると缶に戻るという「アキカン」のメロンと、ちょっと変態なカケルが繰り広げるドタバタコメディです。
自動販売機とケンカしたり、思い出し叫びをしたり、全裸ブリッジしたりと、初っ端のカケルのハイテンションっぷりには、ちょっとついていけなかったりしましたが、一段落ついてからは普通のラブコメになってくれたので、楽しかったです。
自身がスチール缶だからといって、アルミ缶に嫉妬したり、他のジュースを飲もうとすると起こったりと、対象はともあれ、独占欲の強い女の子って感じでいいですよね。「出かける前にあたしを飲んでいきなさいよ」ってセリフが、何かカワイイ。
始めはメロンを疎ましく思っていたカケルでしたが、衝突を繰り返していくうちに、彼女と共にいるのも悪くないじゃないかと思い始めていくところが良かったですね。
ここからまさかバトルものになっていくとは思わなかった。缶の規格を統一しようという政府の目論見から、アルミ缶とスチール缶の「アキカン」たちによるバトル。いや、もう何ていうかアレですが、自分達の存在を賭けた戦いだけあって、実はシリアスだったりします。ぶど子(グレープジュース缶の女の子)との戦いは、オーナーの気持ちを考えると悲しくてしかたなかったですね。
「アキカン」同士で戦うことを止めさせたいカケルと、戦うことをやめようとしないメロンの亀裂は、ちょっと微妙なものを感じないでもなかったですが、ここにカケルを思う幼馴染のなじみが参戦してきた事で、いい具合に三角関係……といっていいのかしら。素直な女の子なだけに、思いつめたように行動してしまうところには、心が痛みますね。
最後の方はちょっとクサくてムズムズしちゃうところがあったけれど、それぞれの思いが隠されることなく見えるところは良かったですよね。
個人的に印象的だったのは、この言葉。
なあメロン。物語って、最後はハッピーで終わるべきだろ?
途中どんな辛いことがあっても、最後は幸せになるべきだろ?
そのハッピーまで書かねえでバッドで終わらすなんざ、創作者の怠慢だと思わねえか?
オレはな、メロン。信じてるんだ。
途中どんな困難があっても、もうマジヤベエって諦めかけても、それでも。
それでも、最後にはきっとハッピーになる。
オレはそう信じてる。そう信じて生きてる。
激しく同意なこの言葉どおり、ハッピーエンドで良かったです。
とはいえ、例のお役人たちの恥ずかしい名前の計画は動いてますし、まだまだ安心することはできませんね。ラブコメしつつ、バトルも盛り上がっていきそうなので、続きが楽しみです。
アキカン! (集英社スーパーダッシュ文庫 ら 1-2)
藍上 陸
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