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[榎木洋子] 桜咲くまで勝負ですッ!

高校三年の三学期。既に推薦で大学が決まってる室井幸乃は、お気楽な学校生活を送っていた。ある日、いつものように学校へ向かい、ふと校庭を眺めたら、陸上部が朝練の片づけをしているところに、制服を着た男の子が、走り高跳びのバーを飛び越えたのを見てしまった!その一瞬のフォルムの美しさに、なんと幸乃は一目惚れ!でも、高校生活は残り少ない上に、相手がどこの誰だかわからず……

恋する女の子の物語が三篇収録されているんですが、これはいいなあ。読んでる間、頬の緩みが止まりませんでした。楽しくて、恥ずかしくて、いっぱい甘い。そんなお話ばかりです。

表題作「桜咲くまで勝負ですッ!」は、学生生活も押し迫ったときに、年下の男の子に一目惚れしてしまったちょっとのんびりやさんな室井幸乃のお話なんですが、好きな人ができたときの友人とか後輩とかを巻き込んだやり取りが、とても楽しい。ああ、こうやってみんな協力しあって、好きな人の情報を集めていくんだなあと思うと、女の子ネットワークの恐ろしさを感じます。いや、微笑ましいけど。

一目ぼれした相手に、自分の名前を顔を覚えてもらおうと、ちょっとした策謀をしかけるあたりに、恋する思いのエネルギーを感じてニヤニヤしまくりましたが、厳しい条件の中でも、決してあきらめずに頑張った彼女に拍手したくなります。

思い切ってバレンタインに告白した後、男の子のセリフが妙にかわいかったけど、お姉さんな優しさで包んだ幸乃が最高でした。ああ、ほんといいなあ!

そんな幸乃の親友・陽子の恋物語が「敵はクリスマスとともに!」。エレベータ事故で偶然乗り合わせた人たちが、なぜか妖精に襲われるという、ちょっとファンタジーなお話。

エレベータで乗り合わせた佐々木君と、ぶりっ子な後輩・吉本千春で三角関係ができていくんですが、どちらかといえば佐々木君に対して、それほど思いを持っていなかったように思えるのに、妖精問題やら、千春が狙っている気配を感じたりしていくうちに、だんだん自分の気持ちに気づいていくところに、にやり。
佐々木君はどう思っているんだろうと気になってたら、ラストで……。いや、陽子さん、その引きはかわいそうだよ。そりゃ、佐々木君頑張っちゃうよ!ダメだ、頬のゆるみが止まらん。

そのふたりがああなっちゃえば、もうひとりの女の子は、当然失恋してしまって……というわけで、次なる恋の物語は吉本千春の「ビタービター・ハートチョコ」。自分が可愛いことを知っている、ちょっとわがままな女の子が、顔はいいけど、性格がきつい秀才・坂上くんに惚れていくお話。

相手を振り向かせるために、計算尽くしで接近していくという意味では、一番初めの物語と同じなのに、どうにも好きになれないのは、相手を思う気持ちが伝わってこなかったからでしょうね。
そのあたりをビシッと言えるって、坂上君、あんた、どんな高校生活送ってるんだよと言いたくなりますが、そんなビターなことを言ってくれたおかげで、ちゃんと自分を振り返るようになった千春が可愛かった。
いつか、ビターなだけじゃない、チョコレートを上げることができる仲になってください。

いやあ、面白かった。相手の一挙一動にドキドキする恋する乙女たちのお話に、悶えまくりでした。
真面目に頬のゆるみが止まらないので、外で読むときは、ご注意を。

桜咲くまで勝負ですッ!  - 榎木 洋子

桜咲くまで勝負ですッ!
榎木 洋子

集英社(文庫)
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